創作実験 本当に人間ってあさはかな生き物だよね 第13話 細くなったわけではない 風呂の日週に一回のお風呂の日である。シジミは風呂が特に嫌いというわけではない。好きかと聞かれれば、別に好きでもない。体が濡れる。足元が滑る。普段とは違う匂いがつく。そのあと長い時間、毛を乾かされる。進んで入りたい場所ではないが、逃げ回るほど... 2026.08.05 創作実験本当に人間ってあさはかな生き物だよね
創作実験 本当に人間ってあさはかな生き物だよね 第12話 紙を手に入れるために 給料入ったその朝、うちの人間は、いつもより少し機嫌がよかった。鳴る箱を三度も止めたことは、いつもと変わらない。布団から出るまでに長い時間がかかったことも、眠そうな顔で部屋を歩いていたことも同じである。だが、絵の光る板を確認した瞬間、急に目が... 2026.08.04 創作実験本当に人間ってあさはかな生き物だよね
創作実験 本当に人間ってあさはかな生き物だよね 第11話 みかじめを出せ 細い路地うちの人間と細い路地を歩いていた。大きな道から一本入っただけなのに、車の音はずいぶん遠くなる。両側には古い家や小さな店が並び、壁と壁の間には、人間が二人並んで歩くには少し狭いくらいの道しかない。猫にはちょうどよい。車はほとんど入って... 2026.08.04 創作実験本当に人間ってあさはかな生き物だよね
創作実験 本当に人間ってあさはかな生き物だよね 第10話 昼間から遊び歩く人間 鳴る箱朝になると、うちの人間は大きな音で目を覚ます。枕元に置かれた小さな箱が、毎日ほとんど同じ時刻に鳴り始めるのである。うちの人間は自分で、その時間に鳴るようにしている。それなのに、音が鳴るたびに嫌そうな顔をする。布団の中から腕だけを伸ばし... 2026.08.03 創作実験本当に人間ってあさはかな生き物だよね
創作実験 本当に人間ってあさはかな生き物だよね 第9話 風情の正体 風情は手間がかかるウグイスが鳴く季節になった。朝になると、庭の木々の間から、よく通る声が聞こえてくる。うちの人間は、その声が聞こえるたびに窓を開ける。まだ朝の空気は少し冷たい。窓を開けたところで、部屋の中が寒くなるだけである。それでも人間は... 2026.08.03 創作実験本当に人間ってあさはかな生き物だよね
創作実験 本当に人間ってあさはかな生き物だよね 第8話 ジジ様は何も変わっていない ジジ様が出る今日は金〇ロードショーの日である。うちの人間は、朝から何度もテレビの前を通るたびに番組表を確認していた。朝、肩へ落ちた髪をまとめながら一度。昼、飲み物を取りに来たついでに一度。夕方、薄い色の部屋着へ着替えてから、もう一度。放送さ... 2026.08.02 創作実験本当に人間ってあさはかな生き物だよね
創作実験 本当に人間ってあさはかな生き物だよね 第7話 スズメたちの朝食会 気が向いたときだけうちの人間は、ときどき庭にスズメの餌をまく。毎日ではない。天気がよくて、朝少し早く起きて、なんとなく気が向いたときだけである。人間はそれを、スズメに餌をあげていると思っているらしい。シジミから見れば、ずいぶん無責任な話であ... 2026.08.02 創作実験本当に人間ってあさはかな生き物だよね
創作実験 本当に人間ってあさはかな生き物だよね 第6話 声が大きいだけ 匂いで見る散歩シジミは散歩をしていた。いつもの道である。家を出て、角を二つ曲がり、低い塀の続く通りを歩く。塀の向こうには、それぞれ違う庭がある。花の多い庭。木ばかりの庭。人間が何に使っているのか分からない物を、いくつも積み上げている庭。同じ... 2026.08.02 創作実験本当に人間ってあさはかな生き物だよね
創作実験 本当に人間ってあさはかな生き物だよね 第5話 この辺りで一番かわいい猫 この辺りの強い猫その猫は、ほかの猫とは明らかに違っていた。まず、毛の色が違う。全身を覆う毛は、黒でも白でも茶色でもない。日の当たり方によって灰色にも銀色にも見える、少し変わった色をしている。毛は短く、体へぴったりと沿っていた。体格も、ほかの... 2026.08.01 創作実験本当に人間ってあさはかな生き物だよね
創作実験 本当に人間ってあさはかな生き物だよね 第4話 名前は統一してほしい 見回りは仕事シジミは散歩をしていた。いつも通る道である。家を出て、低い塀の横を歩き、角にある植木鉢の匂いを確認する。その先の空き地を横切り、日当たりのよい石の上で少し休む。気が向けば、さらに先まで行く。気が向かなければ、そこで引き返す。散歩... 2026.08.01 創作実験本当に人間ってあさはかな生き物だよね