G検定法律問題対策【個人情報保護法、著作権法、特許法、不正競争防止法】

G検定法律問題対策【個人情報保護法、著作権法、特許法、不正競争防止法】 G検定
G検定法律問題対策【個人情報保護法、著作権法、特許法、不正競争防止法】

その他のG検定関連情報はこちら
https://www.simulationroom999.com/blog/jdla-deep-learning-for-general-2020-1/

はじめに

割と対策が難しいG検定の法律問題。
普通にやると「暗記で対策」になるが、それではちょっと非効率だし、その後に使える知識になるかは疑問

暗記した記憶か、構造的に把握した知識のどちらを得るべきかと考えるとやはり後者の方が望ましいでしょう。

  • 暗記は単に記憶した状態。
  • 知識は、があって、枝葉に情報が載っている状態。
暗記と知識、記憶状態、知識状態、記憶、基礎

要は基礎の部分を先に得ていた方が、
情報が整理しやすいし、さらに追加で覚えるものがあった際も簡単に整理できるってことになります。

本記事の方針

まず各法の概要を確認して、そこに対してAIがどう関係するのか?
という点を説明していきます。
「AIがどう関係するのか?」だけを暗記するよりも、本質的な対処にはつながるでしょう。

法律に対して考え方

法律は、基本的には「誰かの権利を保護する」ものとなります。
この保護に関しては、以下2通りの考え方が取れます・

  • 抵触しないように回避。(賠償金、罰則を受けたくない、交渉して該当知財/情報を得たい)
  • 保護してもらいたいので利用する。(利益を最大化したい、交渉材料に使いたい)

この2点を意識して読んでいくと比較的イメージがわきやすいでしょう。

特に、保護されているからといって、なんもできないということはなく、
両者はともに利益を最大化させたいという動機はもっていることは多いので、
交渉すること」が基本的なアプローチになります。
その際に、事前に法的制約を知っているかどうかで戦略が変わってくるのでしょう。

G検定に関連する法律たち

基本的には、以下4つの法を扱います。

そして、それぞれに対して以下を説明します。

  • どういった法律なのか?
  • AIが絡むとどう影響するものなのか?
  • 違反した場合はどうなるのか?

3つ目の違反した場合、つまり損害賠償(民事)、罰則(刑事)の具体的内容がG検定で出題されることはそうそう無いと思いますが、
どの程度の重要度を持っているかを知る上では結構重要な情報です。

各法とAIの関係性

まずAIも大きく2つに分かれます。

  • AI技術そのもの
  • AIを作るためのデータ

そして、これに伴い、各法との関係性も以下になります。
※ ✓がついてるのが関係あり

AIのモデルデータ
個人情報保護法
著作権法
特許法
不正競争防止法

このようにAIのモデルにかかってくる法なのか?データにかかってくる法なのか?は明確に認識しておきましょう。

著作権法が両方にかかってはいますが、
これは関係しているというよりも、あまり関係していないが故に両方にかかってるように見える状態です。
詳細は後述する著作権法のところで語ります。

不正競争防止法も両方にかかっています。
基本的にはデータ側ではあるのですが、技術情報、研究レポートの保護も含まれるので「AIのモデル」側にもチェックが入っています。

個人情報保護法概要

目的はその名の通り、個人情報を保護し、個人に不利益を与えないための法です。
とくに個人情報データのことをパーソナルデータと呼び、この部分がAI技術を関連してきます。

パーソナルデータの具体例を挙げると以下になります。

  • 氏名、生年月日
  • 生体データ
    • DNA、顔、虹彩、声紋、指紋
  • 公的機関が生成する識別符号
    • マイナンバー、パスポート番号、基礎年金番号、運転免許証番号

そしてパーソナルデータの扱いについては以下になります。

  • 利用目的の範囲内で利用。
    • 15~18条で規定
    • 情報取得時に利用目的の特定、通知、公表を行なわなければならない。
      • Web上で提供するコンテンツをユーザ毎に最適化
      • 携帯電話の位置情報を人口統計データとして活用
      • 車両の走行情報を収集し、交通流改善や運転の安全性を分析
  • 第3者に提供する場合に本人の同意が必要
    • 23条で規定
    • 例外もある。
      • 法令に基づく場合。
        • 警察から刑事訴訟法に基づく照会があった場合
      • 人の生命、身体、財産の保護に必要であり、本人の同意を得ることが困難な場合
        • 災害や事故の緊急時に患者に関する情報を医師に伝える
  • 統計データはこれに含まれない
    • 特定の個人が特定できない状態であるため
  • パーソナルデータを匿名加工情報化することで非パーソナルデータへ
    • 36条で規定。
    • 匿名加工情報はパーソナルデータにならない。

個人情報保護法とAIの関連性

匿名加工情報化」がかなり重要で、G検定においては頻出問題となっています。
学習データなどは、この処置がほぼ必要となってくるでしょう。
さらに「匿名加工情報化」も無条件にOKとうことはなく、以下の義務がある点に注意が必要。(43条)

  • 匿名加工情報を作成した時その作成に用いた個人情報から削除した記述等及び個人識別符号並びに前項の規定により行った加工の方法に関する情報の漏えいを防止するために必要なものとして個人情報保護委員会規則で定める基準に従い、これらの情報の安全管理のための措置を講じなければならない。
  • 匿名加工情報を作成したときは、個人情報保護委員会規則で定めるところにより、当該匿名加工情報に含まれる個人に関する情報の項目を公表しなければならない。
  • 匿名加工情報を作成して当該匿名加工情報を第三者に提供するときは、個人情報保護委員会規則で定めるところにより、あらかじめ、第三者に提供される匿名加工情報に含まれる個人に関する情報の項目及びその提供の方法について公表するとともに、当該第三者に対して、当該提供に係る情報が匿名加工情報である旨を明示しなければならない。
  • 匿名加工情報を作成して自ら当該匿名加工情報を取り扱うに当たっては、当該匿名加工情報の作成に用いられた個人情報に係る本人を識別するために、当該匿名加工情報を他の情報と照合してはならない。
  • 匿名加工情報を作成したときは、当該匿名加工情報の安全管理のために必要かつ適切な措置、当該匿名加工情報の作成その他の取扱いに関する苦情の処理その他の当該匿名加工情報の適正な取扱いを確保するために必要な措置を自ら講じ、かつ、当該措置の内容を公表するよう努めなければならない。

要するに大雑把に言うと以下に意味になります。

  • 漏洩防止のための管理をせよ。
  • 匿名加工した情報も公表可能な状態で管理せよ。
  • 第三者へ提供する際は匿名加工情報であることを明示せよ。
  • 匿名加工したものから本人を特定するようなことはするな

個人情報保護法違反

民事上の措置と、刑事上の措置に分かれます。
尚、刑事上の措置はさらに個人、法人に分かれます。

  • 民事上の措置
    • 被害者に対する慰謝料、損害賠償請求がなされる。
  • 刑事上の措置
    • 42条2項、3項で規定
    • 個人
      • 1年以下の懲役または100万円以下の罰金
    • 法人
      • 1億円以下の罰金

著作権法概要

著作権法は以下と定義されます。

思想または感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術または音楽の範囲に属するものを保護する。
(2条1項1号)

ポイントは「思想または感情を創作的に表現

著作権法とAIの関係性

「思想または感情を創作的に表現」の保護であるため、あまり強くAIと絡むことは少ないと思ってよいでしょう。
例えば、以下は著作権法の保護は受けません

  • IoT機器から取得した計測データ
  • 画像データ
    • 何らかの思想、感情を表現しているものであれば著作物性が認められる
  • データベース
    • 情報の選択、体系的な構造で「思想または感情を創作的に表現」をしているなら著作物
    • 現実的にはそういうものは無い。
  • 音楽、絵画の情報解析
    • 情報解析は権利侵害には該当しない。
      しかし、著作者の利益を不当に害する場合はのぞく

ポイントは「著作者の利益を不当に害する」か否かというところになります。

著作権違反

これも民事上の措置と刑事上の措置があります。
刑事上の措置は「著作権、出版権、著作隣接権」「人格権」に分かれます。
(119条1号)

  • 民事上の措置
    • 侵害行為の差し止め、賠償請求
  • 刑事上の措置
    • 著作権、出版権、著作隣接権
      • 10年以下の懲役または1000万円以下の罰金
    • 人格権
      • 5年以下の懲役または500万円以下の罰金

尚、
「著作隣接権」は「著作物の伝達に重要な役割を果たしているものに与えられる権利」で、
具体的には実演家、レコード製作者、放送事業者、有線放送事業者が該当します。

人格権も複数の権利が集まったもので、以下が代表的です。

  • 公表権
    • 公表をするかしないか
  • 氏名表示権
    • 著作者の氏名を明示するか匿名にするか

深層学習教科書 ディープラーニング G検定(ジェネラリスト) 公式テキスト

https://amzn.to/4ocTiok

徹底攻略 ディープラーニングG検定 ジェネラリスト問題集

https://amzn.to/48C2PQn

AI白書

https://amzn.to/4pssl16

人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの (角川EPUB選書)

https://amzn.to/49xwv32

ディープラーニングG検定(ジェネラリスト) 法律・倫理テキスト

https://amzn.to/4pnZ3Ax

特許法概要

特許法は、
「発明した人に発明の独占権を与えて発明を保護する制度」
です。

押さえるべきポイントとして
発明とは何か、特許要件(特許を受けるための要件)、種類
を意識する必要があります。

発明は以下を満たすものをされています。

  • 自然法則を利用している。
    • 万有引力の法則など。
  • 技術的な思考。
    • 誰が行っても同じ結果が得られるアイデア
  • 創造性
    • 新しいものを作り出したり、考えだしたりすること。
    • ※ すでに存在しているものを見つけ出すのは創造ではなく発見。
  • 高度なもの
    • ※ これについては明確な指標なし

次に特許要件は以下を満たす必要があります。

  • 産業上の利用可能性
  • 新規性
    • 世間に知れ渡っていないもの
  • 進歩性
    • 簡単には発明できないもの

そして、種類も大きく2つに分かれます。

  • 物の発明
    • ソフトウェアの場合だとソフトウェア単体では評価不能で、何かしらの装置になる。
  • 方法の発明
    • 分析方法
    • 通信方法

特許法とAIの関係性

現状、特許法とAIは相性が悪い状態となっています。
AI以前にソフトウェアと相性が悪いと言ってよいでしょう。

まず、「自然法則を利用し、技術的な思想であり、創造性があるか?」が問われます。
本来であれば「高度なもの」も含まれますが、具体的な指標がないので議論外となることが多いです。
この点については、現状、AI単体では評価できず、何かしらの装置である必要があります。

次に「産業上の利用可能性、新規性、進歩性」についてですが、
産業上の利用可能性、新規性についてはクリアしているとして、「進歩性」に論点が当たることが多いです。

「進歩性」に特化して議論をすると、以下は進歩性あるとは認められません

  • 技術の組み合わせによって生まれた技術
    • 通常に起こりうることとし、進歩性は無し
  • 一般的な課題や効果
    • 大量のデータを処理できる。などは当然得られる効果として対象外

ここで具体例を見てみましょう。

  • 要件を満たす事例
    • 事業計画支援装置
      • 以下を元に売上数をシミュレート
        • 商品の在庫量
        • 広告活動
          • ウェブ上のでデータ
            • SNSのいいねの数も含む
              • 出願時の技術常識から大きく進歩しているとみなされた
        • 類似商品と広告各堂のデータ
  • 要件を満たしていない事例
    • 癌レベル算出装置
      • 血液分析で得られるマーカの測定値を元に癌レベルを算出
        • 人間が行っていることをAIが代替しているだけのため認められず

どちらもすごい発明だとは思うのですが、
進歩性あり/なしが命運を分けています。
出願当時の技術常識も関係するため、タイミングにも強く依存しています。
そして、共通点としてはやはり装置であることは前提になっているのでしょう。

特許法違反

これも同じく民事上の措置と刑事上の措置に分かれます。
まぁ民事上の措置は裁判するしないの話なので、誰かしらに損害を与えれば発生します。

  • 民事上の措置
    • 利用したサービス、商品の指し止めや損害賠償対象になる
  • 刑事上の措置
    • 196条で規定
    • 10年以下の懲役または1000万円以上の罰金

深層学習教科書 ディープラーニング G検定(ジェネラリスト) 公式テキスト

https://amzn.to/4ocTiok

徹底攻略 ディープラーニングG検定 ジェネラリスト問題集

https://amzn.to/48C2PQn

AI白書

https://amzn.to/4pssl16

人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの (角川EPUB選書)

https://amzn.to/49xwv32

ディープラーニングG検定(ジェネラリスト) 法律・倫理テキスト

https://amzn.to/4pnZ3Ax

不正競争防止法

不正競争防止法は
他人の技術開発、商品開発等の成果を冒用する行為等の禁止」するものです。
「冒用」とは「名義の権利者の同意を得ないで、その名称等を使用すること」です。

ここでは特に営業秘密、限定提供データについて説明します。

  • 営業秘密
    • 2条1項4号から9号で規定され以下を満たすものを営業秘密とする。
      • 秘密管理性
        • パスワード等でアクセス制限がされている
      • 有用性
      • 非公知性
        • 部外秘、極秘である旨が明示されている。
    • 不正取得、第3社への開示、利用行為を禁止
    • 著作権、特許権によって保護されない場合も、これで保護されることがある。
    • 具体例
      • 顧客名簿
      • 仕入れ先リスト
      • 財務データ
      • 製造技術
      • 実験データ
      • 研究レポート
      • ※ これらが全て営業秘密になるわけではなく、営業機密を認めらえる3原則を満たしている場合において営業秘密として保護される。
  • 限定提供データ
    • 2条7項で規定されており、以下を満たすものを限定提供データとする。
      • 特定の者に提供する情報(限定提供性)
      • 電磁的方法により管理されていること(電磁的管理性)
      • 相当量蓄積されていること(相当蓄積性)
      • 技術上または営業上の情報
    • 具体例
      • ビッグデータ等を元に商品として広く提供されているデータ
        • 自動車の走行履歴がデータベースにより管理されることで価値が生じているもの等
      • コンソーシアム内で共有去られるデータ
        • 会費を支払うことで得られる技術仕様等
      • ※ 秘密管理性がある場合は営業秘密としての保護を受けるため、限定提供データとしての保護はされない。

不正競争防止法とAIの関係性

基本的な考え方としては、
個人情報保護法、著作権法、特許法で保護できなかったが、それなりに有益な情報をどのように保護するか」という観点になります。
AIのモデルやデータ自体は著作権法、特許法での保護は難しく、本法を利用して保護していくこととなります。
よって、「営業秘密であること」、「限定提供データであること」を事前に明言することが重要となってきます。

ここでも保護できないものを「契約で保護する」という優先度と認識しておけば良いでしょう。

不正競争防止法違反

これも民事上の措置、刑事上の措置に分かれますが、
民事上の措置については恒例の差し止め&賠償になります。
刑事上の措置は営業機密とそれ以外に分かれます。

  • 民事上の措置
    • 利用したサービス、商品の差し止めや損害賠償対象になる
  • 刑事上の措置
    • 営業秘密
      • 21条1項、3項で規定
      • 10年以下の懲役または2000万円以下の罰金
    • それ以外
      • 21条2項
      • 5年以下の懲役または500万円以下の罰金

営業秘密に対する違反が比較的重いため、
可能な限り営業秘密に寄せたいというのが、情報を守る側の思考となります。

まとめ

  • AIに関連する法として以下がある。
    個人情報保護法、著作権法、特許法、不正競争防止法。
  • 基本的な考え方は著作権法、特許法で保護できなかったものは不正競争防止法で保護。
    これもで保護できないなら契約で保護。
  • 不正競争防止法で保護する際は営業秘密側で保護したい。

参考文献

G検定・AIと法律・倫理全般


個人情報保護法


著作権法


特許法・知的財産全般


不正競争防止法・営業秘密・限定提供データ


まとめ記事

その他のG検定関連情報はこちら

深層学習教科書 ディープラーニング G検定(ジェネラリスト) 公式テキスト

https://amzn.to/4ocTiok

徹底攻略 ディープラーニングG検定 ジェネラリスト問題集

https://amzn.to/48C2PQn

AI白書

https://amzn.to/4pssl16

人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの (角川EPUB選書)

https://amzn.to/49xwv32

ディープラーニングG検定(ジェネラリスト) 法律・倫理テキスト

https://amzn.to/4pnZ3Ax

コメント

タイトルとURLをコピーしました