AI時代に「資格ブログ」とSEOはどう変わるのか――ゼロクリック検索とGeminiで変わるゲームの話

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AI時代に「資格ブログ」とSEOはどう変わるのか――ゼロクリック検索とGeminiで変わるゲームの話

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※この記事は、G検定などの資格ブログやメディアを運営している人を主な読者として想定していますが、コンテンツ設計全般にも応用できる内容です。※この記事は、G検定などの資格ブログやメディアを運営している人を主な読者として想定していますが、コンテンツ設計全般にも応用できる内容です。いわゆるGAIO/GEOと呼ばれる動きとも重なりますが、本稿では資格ブログという単位で“どこまでAIに任せるか”を整理しています

  • 試験情報を整理した資格記事は、Gemini などのAI要約とゼロクリック検索の影響で、「入口」としての役割が変わりつつある。
  • ゼロクリック率を簡単な数式とPythonシミュレーションでモデル化すると、「ある閾値を超えたところで一気にクリックされにくくなる」構造が見えてくる。
  • その先でも価値が残るのは、公式・一次情報と一次経験、そして資格をどう位置づけるかという「ものの見方」を提供するコンテンツであり、SEOはその分配と設計を考えるフェーズに入っている。

以下の記事も併せて読むことをお勧めします。
SEOだけでなく、情報のゲームが何に最適化されていくかについて考察しています。


「資格ブログ、もういらなくない?」という違和感

AIやDXのブームとともに、AI資格やIT資格を解説する記事が一気に増えました。

  • 試験概要
  • 合格率
  • 勉強時間の目安
  • 試験日程
  • メリット・デメリット

こういった情報は、多くのサイトで丁寧に整理されています。

一方で、今は ChatGPT や Gemini に向かって

「G検定の目的と難易度、勉強時間の目安と向いている人を教えて」

と聞けば、かなりの精度で一通りの情報が返ってきます。
さらに、Google 検索の結果ページそのものに、Gemini などの生成AIによる要約が表示されるケースも増えてきました。

この状況で、

「試験概要を中心に整理した定番の資格記事って、この先どういう役割になるんだろう?」

と感じる人がいても不思議ではありません。


「試験情報を整理した記事」が増えてきた背景

まず、これまで「試験概要+合格率+勉強時間」を整理した記事が多かったのには、検索エンジンの評価軸(SEOのルール)という、ちゃんとした理由があります。

ユーザーが
G検定 難易度 勉強時間 のようなキーワードで検索するときの、多数派のニーズはだいたいこんなものです。

  • 今すぐざっくり難易度を知りたい
  • どれくらい勉強すればいいか知りたい
  • 受けるかどうかを、数分で判断したい

検索エンジンはざっくり言うと、

  • クエリに含まれる単語
  • ページの見出し・本文にある単語
  • そのページを開いたユーザーの行動(クリック率・滞在時間など)

から、

「この検索に対して、このページは一定の役に立ったっぽいか?」

を推測しています。

このときに、最も「手っ取り早く役立っているように見える」のが、

  • 公式サイトの情報を整理し直した解説
  • 「メリット3つ」「デメリット3つ」のような軽いまとめ

といった“試験情報を中心に整理する標準的なスタイルの記事”でした。

ここで強調したいのは、
こうした記事やSEOそのものを否定したいわけではないということです。

  • 経済活動や事業として見つけてもらうために、
    検索というチャネルを意識するのは当然ですし、
  • 「まず全体像を知りたい人」に向けて情報を整理する役割を果たしてきた点は、むしろ必要な行為だったとも言えます。

この記事で扱いたいのは、

その前提のうえで、
生成AIと検索体験の変化によって、 コンテンツの役割や設計が少しずつ変わっていくかもしれない

という話です。


ゼロクリック検索とGemini:検索体験そのものが変わり始めている

最近の Google 検索では、一部のクエリで

  • ページ上部に生成AI(Gemini)による要約が表示され
  • その下に従来型の検索結果(青いリンク)が並ぶ

というUIが増えてきました。

このときユーザーが

「あ、上の要約でだいたい分かった」

となると、そのままブラウザを閉じたり、別のクエリを打ち直したりして、下のリンクをまったくクリックしないことがあります。

これがいわゆる ゼロクリック検索 です。

ここから先は、このゼロクリックの話を

  • ごく簡単な数式
  • Python のミニシミュレーション

でイメージしてみます。

※ 数式が苦手な方へ
ここから少し式が出てきますが、意味として追いたいのは
「AI要約のカバー率が上がるとクリック率がどう変わるか」
という足し算・引き算レベルの直感だけです。
数式そのものはざっと眺めるだけ、あるいは飛ばして、グラフや説明文だけ読んでも大丈夫です。


ゼロクリック率をざっくり数式にしてみる

ある検索クエリ $q$ について、

  • そのクエリが検索された回数を $\text{Searches}(q)$
  • 何かしらのサイトがクリックされた回数を $\text{Clicks}(q)$

とします。

このとき、そのクエリのクリック率

$$
\text{ClickRate}(q) = \frac{\text{Clicks}(q)}{\text{Searches}(q)}
$$

です。

反対に、「何もクリックされない割合」=ゼロクリック率は

$$
\text{ZeroClickRate}(q) = 1 – \text{ClickRate}(q)
$$

と書けます。

これは単なる定義ですが、ここに Gemini などのAI要約が、どれだけユーザーのニーズをカバーしているか というパラメータを導入すると、もう少し構造が見えてきます。


モデルその1:あえて単純すぎる「直線モデル」

まずは、わざとバカ正直なモデルから始めます。

Gemini の要約が ユーザーの「知りたいこと」の何割をカバーしているか
$ \text{coverage} \in [0, 1] $ とします。

  • $ \text{coverage} = 0 $
    → ほとんど何も答えてくれない(昔の検索に近い)
  • $ \text{coverage} = 1 $
    → ユーザーが知りたいことをほぼ完全に満たしている

と決めます。

かなり乱暴ですが、

「coverage が増えるほど、クリック率がまっすぐ落ちていく」

というシンプルな線形モデルを置くと、

$$
\text{ClickRate}(\text{coverage}) = 1 – \text{coverage}
$$

$$
\text{ZeroClickRate}(\text{coverage}) = \text{coverage}
$$

になります。

  • coverage が 0 → みんなどこかのサイトをクリックする(ClickRate=1)
  • coverage が 1 → 誰もクリックしない(ZeroClickRate=1)

という、“きれいな一次関数(線形な関係)の世界”です。

ただ、これはさすがにシンプルすぎます。
現実の人間の行動は、こんな一直線ではありません。


現実は「ある閾値を境に、一気に行動が変わる」ことが多い

現実の世界では、

  • coverage が 0.2 → まだほとんどの人が「足りない」と感じてクリックする
  • coverage が 0.5 → 「まあこれでだいたい分かった」という人が少しずつ増え始める
  • coverage が 0.8 → 多くの人が「もう十分」と感じてクリックしなくなる

みたいな、あるポイントを境に行動がガラッと変わるケースがよくあります。

そこで、

coverage がある値を超えたあたりから、クリック率が急に落ちていく

という挙動を自然に表現できる関数として、ロジスティック関数(シグモイド関数)を使ってみます。


閾値を滑らかに表現するロジスティック関数

ロジスティック関数の一般的な形は、例えばこうです。

$$
\sigma(x) = \frac{1}{1 + e^{-x}}
$$

0〜1の間でS字型のカーブを描き、

  • $ x $ が十分小さいときは $ \sigma(x) \approx 0 $
  • $ x $ が十分大きいときは $ \sigma(x) \approx 1 $
  • 中央付近で急激に変化する

という、「なめらかな閾値」を表現できます。

古典的なニューラルネットワークでは、このロジスティック関数(シグモイド関数)が活性化関数としてよく使われてきました。
入力に対してニューロンがどの程度「発火するか」を0〜1で表す簡易モデル、というイメージです。

ここでは同じ発想で、

coverage がある値を超えたあたりから、クリック率が急激に落ちる

という状況を表現するために、このロジスティック関数を少しだけ変形して使います。


モデルその2:S字で崩れる「閾値モデル」

ロジスティック関数を coverage に当てはめて、クリック率を次のように定義してみます。

$$
\text{ClickRate}(\text{coverage})
= \sigma!\left(k(c_0 – \text{coverage})\right)
= \frac{1}{1 + \exp\left(-k(c_0 – \text{coverage})\right)}
$$

  • $ c_0 $ : 「崩れ始める境目(閾値)」
  • $ k $ : どれくらい急に変化するか(大きいほど急激)

先ほど出した $ \sigma(x) $ に対して、
$ x = k(c_0 – \text{coverage}) $ と置き直しただけです。

ゼロクリック率は相変わらず

$$
\text{ZeroClickRate}(\text{coverage})
= 1 – \text{ClickRate}(\text{coverage})
$$

です。

  • coverage が $ c_0 $ より十分小さいとき
    → $ c_0 – \text{coverage} $ が正で大きく、$ \text{ClickRate} \approx 1 $
    → 多くの人がまだサイトをクリックする
  • coverage が $ c_0 $ を超えたあたりから
    → $ c_0 – \text{coverage} $ が負になり、ClickRate が一気に落ちる
    → 同時に ZeroClickRate が一気に跳ね上がる

という 「ある点を境に世界が変わる」 挙動になります。

AI要約が『まあこれだけ読めば十分』と感じる人が6〜7割を超えたあたりで、それまでクリックされていた資格記事の多くが一気に読まれなくなる、という構造が見えてきます。

実際にも、

という調査があり、coverage があるレベルを超えるとクリック率が急落する、という現場感覚と整合的です。


Python でゼロクリック率をざっくりシミュレーションしてみる

実際にどんなカーブになるか、Python で簡単にシミュレーションしてみます。

import numpy as np
import matplotlib.pyplot as plt

def click_rate(coverage, c0=0.6, k=10):
    """
    coverage: 0〜1 のスカラーまたは配列
    c0: coverage がこの値付近でクリック率が落ち始める
    k: 落ち方の急さ(大きいほど急激)
    """
    coverage = np.asarray(coverage)
    return 1 / (1 + np.exp(-k * (c0 - coverage)))

coverages = np.linspace(0, 1, 101)
clicks = click_rate(coverages, c0=0.6, k=10)
zeros = 1 - clicks

plt.plot(coverages, clicks, label="ClickRate")
plt.plot(coverages, zeros, label="ZeroClickRate")
plt.xlabel("coverage (AI Summary Coverage Rate)")
plt.ylabel("rate")
plt.ylim(0, 1)
plt.legend()
plt.title("How does click-through rate change as coverage increases? (Logistic model)")
plt.show()
How does click-through rate change as coverage increases? (Logistic model)

このグラフはイメージとして:

  • coverage が 0.3 くらいまでは
    → ClickRate ≒ 1(ほとんどの人がまだサイトをクリックしている)
  • coverage が 0.6 前後を境に
    → ClickRate が崖のように落ち始める
  • coverage が 0.8 を超えると
    → ClickRate はほぼ 0、ZeroClickRate はほぼ 1

という動きを見せます。

つまり、

Gemini の要約が「だいたい6〜7割くらいの人が満足するレベル」に到達したあたりから、 従来の“試験情報中心の解説記事”は、クリックされる機会が急に減っていく

というイメージです。
もちろんこれはあくまで仮のモデルですが、「ある一点を境に状況が変わる」感覚は表現できます。


ここから見えてくる「資格記事の役割の変化」

このロジスティックモデルを資格記事に当てはめると、次のように読めます。

  • coverage がまだ低いうち(Gemini の要約が不十分な時期)は、
    → ユーザーは補足情報を求めて、試験解説記事をクリックし続ける。
  • coverage がある閾値 $ c_0 $ を超えると、
    → 試験概要・合格率・勉強時間・基本的なメリット/デメリットといった情報は、
    検索結果ページ上の要約だけで満たされるケースが増える
    → その結果、「基礎情報をメインにした記事」はクリックされる機会が減る方向にシフトする

ここで重要なのは、

「だからそういう記事は全部ダメ」と言いたいわけではなく、
「同じスタイルのコンテンツが、これまでと同じ役割を担い続けるのは難しくなりつつある」

というニュアンスです。


それでも価値が残る/むしろ重要になるコンテンツとは

では、すべての資格コンテンツが不要になるのか?というと、もちろんそんなことはありません。

むしろ、AIやゼロクリック検索が当たり前になるほど、
次の3種類のコンテンツは価値が上がっていくと考えられます。

  1. 公式・一次情報そのもの
    • 試験団体の公式サイト
    • 正式なシラバス・規約・サンプル問題
    • 企業の公式発表や制度の原文
  2. 一次経験・検証データ
    • 実際に受験した人の詳細な体験記
    • 合格後に仕事や評価がどう変わったか
    • 自社での資格の扱われ方や、社内のリアルな運用
  3. 視点・モデル・「ものの見方」そのもの
    • 「この資格は、どんな目的の人にとって意味がある/ないのか」
    • 「G検定・生成AIパスポート・DS検定などを、どの軸で比較すべきか」
    • 「資格を起点に、その後の学びや実務経験をどう設計するか」

特に3つ目の 「どう見るか」 は、現時点のAIが自動的に生み出すのが難しい部分です。

AIは、

  • 複数の記事を要約して「平均的な見解」を出す
  • よくある利点・欠点を並べる

のは非常に得意ですが、

  • 特定の前提や目的にあえてフォーカスを当てる
  • 自分の経験や価値観を踏まえて、見方をわざと“偏らせる”
  • それを一つのモデルとして提示する

といった 「人間の癖を含んだ視点」 は、やはり書き手ごとに違いが出る領域です。

コンテンツの役割マップで考えてみる

ここまでの話を、もう少し直感的に整理するために、
コンテンツを「どんな性質の情報か」という2軸で見てみます。

  • 横軸:構造軸
    • 左:定型的(構造化しやすい)
    • 右:文脈依存的(ケースによって意味が変わる)
  • 縦軸:情報位置
    • 上:公式情報(試験団体・企業などが発信する一次情報)
    • 下:経験情報(個人や組織の経験・検証・解釈にもとづく情報)
構造化しやすい(定型的)文脈依存的
公式情報– 試験概要(目的・出題範囲)
– 試験日程・受験料
– 合格率の公式発表
– 公式FAQの個別ケース
– 試験団体のコラムや方針解説
経験情報– アンケート集計(平均勉強時間、使用教材ランキング)
– 合格者・不合格者の傾向データ
– 受験体験記
– 合格後の評価・キャリアの変化
– 「誰にとって意味があるか」という視点・モデル

左上(公式 × 定型的)は、まさに「試験概要・日程・合格率」といった情報で、
Gemini や検索エンジンがもっとも扱いやすい領域です。

右下(経験 × 文脈依存)は、その人の前提や価値観によって意味が変わる領域で、
AIが「平均的なまとめ」を作ることはできても、その人ならではの視点・モデルまでは完全には代替しにくい部分です。

この記事で強調している

  • 公式・一次情報
  • 一次経験・検証データ
  • 視点・モデル・ものの見方

という3つは、おおまかにこのマトリクスの

  • 左上:公式・一次情報
  • 左下〜右下:一次経験・検証
  • 右下寄り:視点・モデル

に対応している、と考えることができます。


SEOを否定せずに、ゲームの変化だけを見る

改めて整理すると、この文章で伝えたいのは

「SEOはもうダメだ」と言いたいのではなく、
「SEOや検索の前提が変わり始めているので、コンテンツの役割設計もアップデートした方がよさそう」

という話です。

  • 検索というチャネルを意識し、見つけてもらいやすくすること自体は、
    これからも普通に重要です。
  • ただ、検索結果ページに AI 要約が乗ってくると、
    「どの情報を自分のサイトに置いて、どこから先をAIや公式に任せるか」という
    役割分担の考え方が必要になってきます。

まとめ:これからの「資格ブログ」に求められるもの

最後に、この記事の要点をまとめると:

  • 試験概要・合格率・勉強時間といった基礎情報は、
    公式サイトと複数の解説記事をもとに AI(Gemini や ChatGPT)が簡単に要約できる。
  • Google 検索結果に生成AIの要約が載り、その coverage がある閾値を超えたあたりから、
    「基礎情報中心の資格解説記事」は、クリックされる機会が減る方向にシフトしていく
  • その一方で、
    • 公式・一次情報
    • 実際の経験・検証
    • 資格をどう位置づけ、どう活かすかという視点・モデル
      の3つは、AI時代でも価値を持ち続ける。

これから資格やAIについて発信するなら、

「何を知っているか」だけを書き続けるのではなく、
「その資格をどう見るか」「どんな目的の人にどう役立つか」を言語化できるか

が、だんだん問われていきそうです。

そして読み手としても、

  • 普通の情報 → AIと公式に任せる
  • 視点・モデル → 自分に合う書き手を見つけてフォローする
  • そのうえで AI に「この前提で整理して」と頼み、演繹させる

というスタイルに切り替えていくことで、
“薄い情報の海”に依存しない情報収集がしやすくなっていくと思います。

まとめのまとめ(3行):

  • AI要約とゼロクリック検索の広がりで、「基礎情報をメインにした資格記事」の役割は、入口から補足・文脈提供へとシフトしつつある。
  • ロジスティック関数を使った簡易モデルからは、Geminiのカバー率がある閾値を超えたあたりで、クリック率が一気に落ちる“ゲームチェンジポイント”が示唆される。
  • これからは、公式・一次情報と一次経験、そして資格をどう位置づけるかという視点・モデルを提示できるコンテンツの比重を高めることが重要になる。

明日から資格ブログ運営者が変えられること(3つ)

基礎情報ページを「入口兼ハブ」に作り替える

  • 試験概要・日程・合格率・勉強時間などは、
    「入口情報+公式サイトへのリンク+自サイト内の関連記事へのハブ」
    という役割に寄せる。
  • 公式ページ・受験申込ページ・シラバスへのリンクを太く張る。
  • 自分の一次経験記事や比較記事への内部リンクを、
    「次に読むべき記事」として明示的に置く。

各記事に「一次経験」と「誰に向けた話か」を1ブロック足す

  • 単なる情報整理に終わらせず、
    • 自分が受けたときの状況
    • 会社での扱われ方
    • その資格がハマる人・ハマらない人
      を1セクションだけでも書く。
  • 見出し例:
    • 「筆者の受験背景と前提」
    • 「この資格が特に意味を持ちやすい人・持ちにくい人」

PVだけでなく“深さ”の指標も軽くモニタリングする

  • 基礎情報ページ単体のPVだけでなく、
    • そこから一次経験記事への遷移率
    • 比較記事やメルマガ登録への誘導率
      を軽く見る。
  • 「AI+公式で済む情報」はAIに任せ、
    自サイトでは「深い一歩目」に人を案内できているかを意識してみる。

この3つだけでも、

  • 「AIに任せる部分」と
  • 「自分たちが書くべき部分」

の切り分けが、だいぶ明確になってくるはずです。


FAQ

Q1. ゼロクリック検索とはなんですか?
A. 検索結果ページの要約やAI回答だけでユーザーの用が足りてしまい、下に並んだ通常の検索結果リンクがクリックされない状態のことです。この記事では、GeminiなどのAI要約の精度が上がるとゼロクリックが増え、「基礎情報中心の記事」がクリックされにくくなる構造を扱っています(詳しくは本文第3〜9章)。

Q2. AI時代に「試験概要をまとめた資格記事」はどうなりますか?
A. 試験概要や合格率、勉強時間などは、公式情報と既存の解説をもとにAIが簡単に要約できるようになっています。さらに検索結果ページでAI要約が前面に出るようになると、こうした基礎情報中心の記事はゼロクリック検索の影響を受けやすくなり、役割が「入口」から「補足・ハブ」へと変わっていく可能性があります。

Q3. SEO自体はこれから不要になるのでしょうか?
A. いいえ、SEO自体を否定する必要はまったくありません。経済活動や事業として、適切なユーザーに見つけてもらうことは今後も重要です。ただし、生成AIやゼロクリック検索の比率が高まるにつれて、「どんなコンテンツをどこに置き、何をAIや公式に任せるか」という設計がこれまで以上に重要になっていくと考えられます。

Q4. ロジスティック関数をゼロクリック率のモデルに使う意味は?
A. ロジスティック関数(シグモイド関数)は、「ある閾値を境に挙動が大きく変わる」現象を、カクッとした段差ではなく滑らかなS字カーブで表現できます。GeminiなどのAI要約の精度が、あるレベルを超えたあたりからクリック率が急激に落ちていく様子を説明するのに相性が良いため、この記事では簡易モデルとして採用しています。

Q5. 資格ブログ運営者は具体的に何から変えるべきですか?
A. まずは、(1)基礎情報ページを「入口兼ハブ」と位置づけて公式・関連記事への導線を整理すること、(2)各記事に「筆者の前提や一次経験」「誰に向いた資格か」を1ブロック追加すること、(3)PVだけでなく内部リンクの遷移率や読了率など“深さ”の指標も軽く見ること、の3つから始めるのがおすすめです。

Q6. すでにある基礎情報記事は削除すべきでしょうか?
A. いきなり削除する必要はありません。むしろ、既存の基礎情報記事を「入口兼ハブ」として再設計し、公式サイトや自分の一次経験記事・比較記事への導線を整理することで、AI時代に合った役割へとアップデートしていくのが現実的です。

参考文献

AI検索・ゼロクリック、CTRモデル、生成AIと情報検索、SEOの長期戦略という観点で、本文の裏付けになりそうな「論文ベース」の資料だけをまとめました(個人ブログ/企業の販促ブログなどは除外しています)。


SERPの進化とゼロクリック・CTR


クリック率モデル・ロジスティック回帰・CTR予測


生成AIと情報検索・情報行動


SEO・キーワード選択と長期戦略

その他のエッセイはこちら

SEO

Amazon.co.jp : SEO

Gemini

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