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- 営業秘密の三要件は「秘密管理性・有用性・非公知性」
- 限定提供データは「限定提供性・相当蓄積性・電磁的管理性」がポイント
- 特許・営業秘密・限定提供データは、情報の性質と管理・提供方法から整理
G検定では、AIに関する法律や契約についても理解しておく必要があります。
今回取り上げるのは不正競争防止法です。
特に覚えておきたいのが、「営業秘密」と「限定提供データ」です。
営業秘密という言葉は聞いたことがあっても、「会社が秘密にしている情報なら全部営業秘密なのでは?」と思うかもしれません。
しかし、不正競争防止法上の営業秘密として扱われるためには、秘密管理性・有用性・非公知性という三つの要件があります。
一方、データを特定の利用者に提供するビジネスでは、限定提供データという制度も重要です。
この記事では、特許との違いから始め、営業秘密と限定提供データを一つの流れで整理します。
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不正競争防止法とは?G検定で押さえる営業秘密と限定提供データ
不正競争防止法は、事業者間の公正な競争を確保するため、不正な競争行為を規制する法律です。
G検定対策では法律全体を細部まで覚えるのではなく、AI・データ・ノウハウに関係する部分として、次の流れを押さえると理解しやすくなります。
- 特許と営業秘密の違い
- 営業秘密の三要件
- 営業秘密の不正取得・不正使用・不正開示
- 限定提供データの三要件
- 営業秘密と限定提供データの違い

まずは、前回扱った特許と営業秘密の違いから確認します。
特許と営業秘密の違い
特許と営業秘密は、どちらも技術やノウハウを守るために利用できますが、保護の考え方が大きく異なります。
特許は公開して権利化
特許では、発明について特許出願を行います。
出願内容は原則として公開され、審査を経て特許査定を受け、設定登録されることで特許権が発生します。
つまり、技術内容を公開する代わりに、一定期間、法律上の権利によって発明を保護する仕組みです。
営業秘密は公開せず管理
営業秘密には、特許のような出願や登録の手続はありません。
自社が持つ技術情報や営業情報を秘密として管理し、その情報の不正な取得・使用・開示などから保護します。
大切なのは、営業秘密は他社による独自開発そのものを禁止する制度ではないという点です。
自社で秘密にしていた技術と同じものに他社が独自に到達する可能性があります。
そのため、ある技術を特許として権利化するのか、営業秘密として管理するのかは、情報の性質や事業戦略に応じて考える必要があります。

営業秘密の三要件
営業秘密は、単に「社外秘」「秘密」と呼んでいるだけで成立するものではありません。
不正競争防止法上の営業秘密として保護されるためには、次の三要件を満たす必要があります。
- 秘密管理性
- 有用性
- 非公知性
G検定では、この三つをセットで覚えておきましょう。

秘密管理性
一つ目は秘密管理性です。
その情報が、秘密として管理されていることを意味します。
ポイントは、会社の担当者が頭の中で「これは秘密だ」と考えているだけでは不十分だということです。
情報に接する従業員などが、会社によって秘密として管理されている情報だと認識できる状態にすることが重要です。
具体的な管理方法としては、次のようなものが考えられます。
- 文書やファイルへの秘密表示
- IDやパスワードなどによるアクセス管理
- 閲覧できる従業員や担当者の限定
- 秘密保持契約
- 秘密情報に関する社内ルール
ただし、特定の管理方法を一つ実施すれば必ず秘密管理性が認められる、という単純なものではありません。
情報の性質や企業の規模、従業員との関係などを踏まえ、秘密として管理する意思が認識できる状態になっているかがポイントになります。
有用性
二つ目は有用性です。
事業活動に有用な技術上または営業上の情報であることを意味します。
例えば、次のような情報が考えられます。
- 顧客情報
- 製造方法
- 販売戦略
- 研究開発データ
- AIの学習・評価に関するノウハウ
ここでいう有用性は、「その情報を使えば直接売上が増える」という意味だけではありません。
例えば、ある研究方法を試した結果、期待した成果が得られなかったという失敗データでも、同じ失敗を繰り返さずに済むのであれば事業上の価値を持つ場合があります。
G検定対策では、失敗した研究結果などのネガティブな情報にも有用性が認められ得ることを覚えておくとよいでしょう。
非公知性
三つ目は非公知性です。
その情報が公然と知られていないことを意味します。
例えば、自社のWebサイトですでに公開している情報や、一般に容易に入手できる情報であれば、通常は営業秘密としての非公知性を満たしません。
一方、社外の人が情報を知っているだけで直ちに非公知性が失われるわけではありません。
例えば、秘密保持契約のもとで取引先へ限定的に情報を提供している場合などがあります。
したがって、
秘密管理性 → 有用性 → 非公知性
という三要件をまとめて確認することが重要です。
営業秘密の侵害と日常管理
営業秘密として保護される情報では、情報の不正取得・不正使用・不正開示などが問題になります。
例えば、従業員が会社の顧客情報を不正に持ち出し、転職先で使用するといったケースです。
一定の要件に該当する営業秘密侵害に対しては、差止請求や損害賠償請求などの民事上の措置が用意されており、一定の場合には刑事上の措置もあります。

ここで重要になるのが、問題が起きる前の日常的な情報管理です。
- 秘密表示
- アクセス管理
- 秘密保持契約
- 社内規程
- 従業員への周知
情報流出が発生してから「本当は秘密情報だった」と主張するのではなく、日頃から秘密情報として認識できる管理を行うことが重要です。
限定提供データとは?三要件を整理
次に限定提供データです。
限定提供データは、データの提供・共有によるビジネスを考えるうえで重要な制度です。
不正競争防止法では、業として特定の者に提供する情報として、電磁的方法により相当量蓄積され、電磁的方法により管理されている技術上または営業上の情報が対象になります。
ただし、営業秘密は除かれます。
G検定対策では、次の三つを覚えます。
- 限定提供性
- 相当蓄積性
- 電磁的管理性

限定提供性
一つ目は限定提供性です。
業として特定の者に提供することがポイントです。
イメージしやすいのは、契約した企業や会員だけが利用できるデータサービスです。
誰にでも無条件で公開する情報ではなく、一定の条件のもとで特定の利用者に提供するデータが想定されています。
相当蓄積性
二つ目は相当蓄積性です。
電磁的方法によって、相当量の情報が蓄積されていることがポイントです。
例えば、次のようなデータが候補として考えられます。
- 機械の稼働データ
- 購買データ
- 気象データ
- AI学習用データセット
もちろん、このような名前のデータであれば自動的に限定提供データになるわけではありません。
実際に限定提供データに該当するかは、法律上の要件に照らして判断する必要があります。
電磁的管理性
三つ目は電磁的管理性です。
そのデータが電磁的方法によって管理されていることがポイントです。
例えば、次のような管理が考えられます。
- ID・パスワード
- 利用者認証
- アクセス権限
- システム上の利用者管理
覚え方としては、
特定の相手に提供 → 相当量を蓄積 → システムなどで管理
という流れで理解すると整理しやすくなります。
令和5年改正後の「営業秘密を除く」
限定提供データでは、法令改正について一つ注意したいポイントがあります。
制度創設時は、限定提供データの定義から「秘密として管理されているもの」が除かれていました。
その後、令和5年の不正競争防止法改正によって、「秘密として管理されているものを除く」から「営業秘密を除く」へ変更されました。改正部分は2024年4月1日に施行されています。
そのため、現在は「秘密として管理しているデータだから限定提供データにはならない」と単純に判断することはできません。
法適用上は営業秘密と限定提供データによる保護が重複しない一方、実務上は両制度による保護の可能性を考慮した情報管理を行うことも想定されています。
営業秘密と限定提供データの違い
営業秘密と限定提供データは、どちらも不正競争防止法で扱われる情報ですが、中心となる考え方が異なります。
| 項目 | 営業秘密 | 限定提供データ |
|---|---|---|
| 基本的な考え方 | 秘密として管理する情報 | 特定の者への提供を想定したデータ |
| 主な要件1 | 秘密管理性 | 限定提供性 |
| 主な要件2 | 有用性 | 相当蓄積性 |
| 主な要件3 | 非公知性 | 電磁的管理性 |
| 登録 | 不要 | 不要 |
| 営業秘密との関係 | 営業秘密として保護 | 営業秘密は限定提供データから除外 |

試験対策としては、
営業秘密=秘密として管理
限定提供データ=特定の相手へのデータ提供
という入口から考え、それぞれの三要件を確認すると理解しやすくなります。
AI・データ・ノウハウを守るときの判断
ここまでの内容を、AI・データ・ノウハウを守る場面から一つの流れに整理します。

技術的な発明を権利化する場合
発明を出願して権利化したい場合は、特許を検討します。
特許では原則として出願内容が公開されるため、公開することと権利を取得することのバランスを考える必要があります。
秘密として保有する場合
技術情報や営業情報を公開せず、秘密として管理する場合は営業秘密を検討します。
この場合に確認するのが、
秘密管理性・有用性・非公知性
です。
特定の相手にデータを提供する場合
データサービスなどとして特定の相手への提供を行う場合には、限定提供データに該当するかを確認します。
この場合に重要なのが、
限定提供性・相当蓄積性・電磁的管理性
です。
法令上、営業秘密に該当する情報は限定提供データから除かれます。
契約やほかの法律も確認
AIやデータを扱う場合、不正競争防止法だけで判断できるとは限りません。
例えば、次のような観点も個別に確認する必要があります。
- 著作権
- 個人情報
- 秘密保持契約などの契約
- AIサービスなどの利用規約
特に外部の生成AIサービスへ業務上の情報を入力する場合は、「入力する情報そのもの」だけでなく、その情報の管理方法や契約・利用規約も確認することが重要です。
G検定対策FAQ
営業秘密の三要件は何ですか?
営業秘密の三要件は、秘密管理性、有用性、非公知性です。
秘密として管理され、事業活動に有用な技術上または営業上の情報であり、公然と知られていないことが必要です。
秘密にしている情報はすべて営業秘密になりますか?
いいえ。
単に秘密だと考えているだけでは営業秘密になるとは限りません。
秘密管理性、有用性、非公知性の三要件を満たす必要があります。
特許と営業秘密の違いは何ですか?
特許は発明を出願し、原則として内容を公開したうえで審査・登録を経て権利化する制度です。
営業秘密は登録を必要とせず、情報を秘密として管理し、不正な取得や使用、開示などから保護する制度です。
また、営業秘密は他社による独自開発そのものを禁止する制度ではありません。
限定提供データの三要件は何ですか?
限定提供データでは、限定提供性、相当蓄積性、電磁的管理性が重要です。
業として特定の者に提供する情報として、電磁的方法により相当量蓄積され、電磁的方法により管理されている技術上または営業上の情報が対象となります。
ただし、営業秘密は除かれます。
営業秘密と限定提供データの違いは何ですか?
営業秘密は秘密として管理する情報を保護する制度で、秘密管理性、有用性、非公知性が要件です。
限定提供データは特定の相手へのデータ提供を想定した制度で、限定提供性、相当蓄積性、電磁的管理性が重要です。
法令上、営業秘密に該当する情報は限定提供データから除かれます。
まとめ

不正競争防止法では、まず営業秘密の三要件を押さえましょう。
営業秘密は、
秘密管理性・有用性・非公知性
です。
限定提供データでは、
限定提供性・相当蓄積性・電磁的管理性
を押さえます。
そして、AI・データ・ノウハウを守るときは、特許として権利化するのか、営業秘密として管理するのか、限定提供データに該当するのかを情報の性質や利用方法から考えます。
最後に、今回の内容を3行にまとめます。
- 営業秘密=秘密管理性・有用性・非公知性
- 限定提供データ=限定提供性・相当蓄積性・電磁的管理性
- 特許・営業秘密・限定提供データを情報の管理方法と提供方法から整理
参考文献
経済産業省「不正競争防止法」
https://www.meti.go.jp/policy/economy/chizai/chiteki/
e-Gov法令検索「不正競争防止法(平成五年法律第四十七号)」
https://laws.e-gov.go.jp/law/405AC0000000047
経済産業省「営業秘密管理指針」(最終改訂:令和7年3月31日)
https://www.meti.go.jp/policy/economy/chizai/chiteki/guideline/r7ts.pdf
経済産業省「営業秘密~営業秘密を守り活用する~」
https://www.meti.go.jp/policy/economy/chizai/chiteki/trade-secret.html
経済産業省「限定提供データと利活用」
https://www.meti.go.jp/policy/economy/chizai/chiteki/data.html
経済産業省「限定提供データに関する指針」(最終改訂:令和6年2月)
https://www.meti.go.jp/policy/economy/chizai/chiteki/guideline/h31pd.pdf
経済産業省「不正競争防止法 直近の改正(令和5年)」
https://www.meti.go.jp/policy/economy/chizai/chiteki/kaisei_recent.html
経済産業省「不正競争防止法テキスト」
https://www.meti.go.jp/policy/economy/chizai/chiteki/pdf/unfaircompetition_textbook.pdf
特許庁「初めてだったらここを読む~特許出願のいろは~」
https://www.jpo.go.jp/system/basic/patent/index.html
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