【仕様書】最小構成のモデルベース開発事例 その10【制御対象】

事例

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はじめに

前回、PID制御を離散化した。
Simulinkへ転記しても動作するレベルまで来たが、
制御対象が無いため、動作確認ができない。
制御対象の仕様を決めていく。

登場人物

博識フクロウのフクさん

イラストACにて公開の「kino_k」さんのイラストを使用しています。
https://www.ac-illust.com/main/profile.php?id=iKciwKA9&area=1

エンジニア歴8年の太郎くん

イラストACにて公開の「しのみ」さんのイラストを使用しています。
https://www.ac-illust.com/main/profile.php?id=uCKphAW2&area=1

アクセル開度と車速の関係性は?

太郎くん
太郎くん

で、制御対象ってどうしたら良いの?
車両側の振る舞いとか良く分かっていないよ?

フクさん
フクさん

まぁ、

完全に車両を再現する必要はないかな。

太郎くん
太郎くん

そーなの?
それだとしても、一体どうしたら良いか・・・。

フクさん
フクさん

世の中に存在する制御対象はおおよそ一次遅れ系で表現できる。
これを考え方を利用する。

太郎くん
太郎くん

一次遅れ系?

フクさん
フクさん

動作イメージはこんな感じ。
青点線が入力として、黒線が出力。

太郎くん
太郎くん

入力が制御で、

出力がその結果ってイメージ?

フクさん
フクさん

そのイメージであってるよ。
今回で仕様で言うと、

  • アクセル開度が入力
  • 車速が出力

と考えるとイメージしやすい

太郎くん
太郎くん

なるほど。
アクセスを一気に踏み込んでも、

すぐに車速には反映されないもんね。
それと同じ特性ってことだね。

フクさん
フクさん

そして、これを伝達関数で表現すると以下になる。
$$G(s)=\frac{c}{as+b}$$

太郎くん
太郎くん

これは、

もしやラプラス変換ってやつでは?

フクさん
フクさん

うん。
ここでは、\(s\)は微分、\(\displaystyle\frac{1}{s}\)は積分を示していると思って良い。

太郎くん
太郎くん

んー。

だとすると、

一次遅れ系は積分なような積分じゃないような?

フクさん
フクさん

まぁ、

積分的な性質は持っているが、

このままだと離散化する際に手間がかかるので、
変形しておく。

フクさん
フクさん

\(P\):出力
\(A_p\):アクセル開度
\(a\):時定数ゲイン
\(b\):負帰還ゲイン
\(c\):定常ゲイン
$$\frac{P}{A_p}=\frac{c}{as+b}$$
$$P(as+b)=cA_p$$
$$Pas+Pb=cA_p$$
$$Pas=cA_p-Pb$$
$$P=(cA_p-Pb)\frac{1}{a}\frac{1}{s}$$
ブロック線図にするとこんな感じ。

太郎くん
太郎くん

ん?

予想に反して結構シンプルだね。

フクさん
フクさん

まぁ
\(\displaystyle\frac{1}{s}\)の積分と\(b\)の負帰還ゲインが、
いろいろ吸収してしまっているのでシンプルに見えるかもね。

太郎くん
太郎くん

とりあえず、

これで車両の振る舞い相当になるってことで良いんだよね?

フクさん
フクさん

んー、

どうだろうか。
私のイメージだとアクセル開度と一次遅れ系の関係にあるのは車速ではなく、出力こと仕事率だと思うんだよね。

太郎くん
太郎くん

そーなの?
仮にそうだとして、

どうやって車速を表現したら良いの?

フクさん
フクさん

たぶん、仕事\(W[J]\)と仕事率\(P[W]\)の定義から算出できると思う。

仕事率から速度を求める

太郎くん
太郎くん

え!ちょっとやってみてよ!

フクさん
フクさん

こんな感じかな。
仕事\(W\)の定義より、
$$W=Fr$$
仕事率\(P\)の定義より、
$$P=W\frac{d}{dt}$$
これらより、
$$P=Fr\frac{d}{dt}$$
$$=mar\frac{d}{dt}$$
$$=mav$$
$$=ma^2t$$
$$a^2=\frac{P}{m}\frac{d}{dt}$$
$$a=\sqrt{\frac{P}{m}\frac{d}{dt}}$$
$$v=\int \sqrt{\frac{P}{m}\frac{d}{dt}} dt$$

太郎くん
太郎くん

算出できた!

フクさん
フクさん

ブロック線図で描くとこう。

フクさん
フクさん

この物理量の変換は以下のページを見ると分かるよ。

太郎くん
太郎くん

ということは先の一次遅れ系とつなげると・・・。

フクさん
フクさん

こんな感じで、

アクセル開度から車速が求められることになる。

太郎くん
太郎くん

すごい!

なんちゃって車両モデルの完成だ!

フクさん
フクさん

まぁ、
実際の車両の応答性から、
一次遅れ系の時定数ゲイン、負帰還ゲイン、定常ゲインを求めたり、
仕事率→車速変換のために質量(車体重量)を調べておく必要はあるけどね。

太郎くん
太郎くん

よし!あとはSimulinkにコピぺしt

フクさん
フクさん

ちょい待ち。

太郎くん
太郎くん

なに?

フクさん
フクさん

制御対象側も離散化してしてしまおう。

太郎くん
太郎くん

制御対象側も離散化しなきゃダメなの?

フクさん
フクさん

Simulinkでシミュレーションするだけだったら不要だろう。
ただ、今回はこれを簡易HILSにするんだろう?
だったら、ソフトウェア仕様として定義できるよう離散化は必要だろう。

太郎くん
太郎くん

なるほど。

そういえばそれがあったね。

フクさん
フクさん

というわけで、

次回は制御対象側の離散化をする。

太郎くん
太郎くん

オッケー

まとめ

フクさん
フクさん

まとめだよ。

  • 制御対象はおおよそ一次遅れ系で表現できることが多い。
  • アクセル開度と一次遅れ系の関係性を持っているのは出力。
  • 出力(仕事率)から車速が算出できる。

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