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一 現場は終わった。案件は終わっていない
八重結び作戦は完了した。
旧市営地下道の累積霊障は、分解され、希薄化され、封印された。
八人の八重士も、補助班も、現場担当も、全員帰還確認済み。
名前も残った。
署名も残った。
記録も残った。
つまり、現場は終わった。
だが、案件は終わっていなかった。
片桐美緒の端末には、作戦後処理の通知が積み上がっている。
八重士を全国各地から一時的に抜いたことで、各地にしわ寄せが発生していた。
北海道では、観測網が一時的に薄くなり、軽微な霊障を三件見落とした。
東北では、固定結界更新が一日ずれ、自治体説明が必要になった。
関西では、文化財封印物の立会いが延期され、関係者が拗ねた。
北陸では、雪解け前の希薄処理が積み残しになった。
九州では、高密度霊障待機の代替班が札を使いすぎた。
四国では、巡礼路の霊障バランス調整日程が再編された。
中部では、山岳・河川導線の巡回班が、なぜか地域間交流会の話を蒸し返していた。
美緒は画面を見た。
「……終わってませんね」
隣で、三枝透が少しだけ首を傾げる。
「でも、現場は終わりましたよね?」
美緒は淡々と答えた。
「現場は終わりました」
「案件は終わっていません」
透は、端末に並ぶ通知の数を見る。
「その違い、怖いですね」
美緒は画面から目を離さない。
「怖がってください」
黒瀬玄一は、少し離れたところでコーヒーを飲んでいた。
飲んでいるふりをしていた。
正確には、美緒の端末から目を逸らしていた。
透が小声で聞く。
「黒瀬さん、なんであっち向いてるんですか」
黒瀬は答える。
「見たら、現実になる」
美緒が即座に言った。
「もう現実です」
黒瀬は、コーヒーを置いた。
「そうか」
「そうです」
「逃げられないか」
「逃げるなら、作戦前にお願いします」
透が言う。
「作戦後は?」
美緒は端末を操作しながら答える。
「残業です」
その言葉には、旧市営地下道の残留歪みよりも確かな重さがあった。
二 八重士たちからの丁寧な丸投げ
各地の八重士から、連絡が届いていた。
怒っているわけではない。
むしろ、全員かなり丁寧だった。
丁寧で、上品で、理屈が通っていて、容赦がなかった。
美緒は、北辰院玲司からの報告を開く。
片桐さん。
先日の作戦では世話になった。
こちらの観測網が一時的に薄くなった影響で、軽微な霊障を三件見落とした。
いずれも対処済みだが、行政向けの説明文に難がある。
そちらの作戦由来の空白として整理できるか確認したい。
美緒は、三秒だけ画面を見た。
「できます」
透が驚く。
「できるんだ」
「できますが、やりたくはありません」
「できるけどやりたくない仕事って、けっこうありますよね」
「だいたい残業になります」
透は黙った。
次は、雪代透子からの相談だった。
片桐さん。
北陸側で雪解け前の希薄処理が積み残しになりました。
こちらで処理は可能ですが、日程変更に伴う責任分界の文面について確認をお願いしたいです。
片桐さんの書式なら、現場の納得が早いと思います。
美緒は、少しだけ椅子の背にもたれた。
「信頼が重い」
透が言う。
「褒められてますよ」
「褒め言葉で人は残業します」
「名言っぽい」
「名言にしないでください」
各八重士は、美緒を信頼している。
その信頼は、戦闘力への信頼ではない。
術式適性への信頼でもない。
帰ってきたことを記録してくれる。
責任の線を引いてくれる。
現場の無理を、書類の上でなかったことにしない。
そういう信頼だった。
だからこそ、丸投げしてくる。
片桐さんなら、うまく処理できるでしょう。
その一文は、どの文面にも書かれていない。
だが、全員の文面から透けて見えた。
美緒は受信箱を見る。
「丁寧な丸投げは、丸投げの中でも特に重いです」
透が聞く。
「雑な丸投げよりですか?」
「雑な丸投げは、雑だと指摘できます」
「丁寧な丸投げは?」
「断りにくいです」
黒瀬が低く言った。
「世の中で一番厄介なのは、筋の通った無茶だからな」
美緒は頷く。
「はい」
「今、全国から筋の通った無茶が来ています」
三 風祭令と地域間交流会
その中で、ひときわ異質な連絡があった。
風祭令からだった。
中部の山岳、河川、交通導線を担当する偏向系八重士。
軽さはあるが、若手の定着を本気で気にしている。
文面は丁寧だった。
ただし、件名がよくなかった。
件名:地域間交流会、または合コンについて
美緒は、数秒だけ画面を見た。
「件名が悪い」
透は画面を覗き込む。
「でも“地域間交流会”も入ってますよ」
「“または”でつないだ時点で悪いです」
本文はもっと悪かった。
片桐さん。
若手に確認したところ、地域間交流会よりも合コンという表現の方が参加率が高いとのことでした。
ただ、自分は合コンの運用仕様を把握していません。
先日のメールに添付した六名は、交流希望者です。
可能であれば、適切な形式へ変換していただけると助かります。
透は画面を見て、しばらく黙った。
「真面目だ……」
美緒は、眉間を押さえた。
「真面目なのが一番厄介です」
風祭は、決してナンパな男ではない。
軽さはある。
だが、根は真面目だった。
山奥の担当区域では、若手が定着しにくい。
仕事はある。
責任もある。
だが、生活が続かない。
同世代の退魔士と出会う機会がない。
他地域との横のつながりがない。
愚痴を言える相手も、相談できる相手も少ない。
だから若手に言われた。
合コンみたいなの、セッティングできませんか。
風祭は、それをそのまま美緒に送った。
要件は明確な方がいいと思ったからだった。
美緒は端末を見ながら言う。
「要件は明確ですが、語彙が危険です」
透が頷く。
「風祭さん、悪気はないんですよね」
「悪気がない仕事が、一番処理しづらいんです」
「悪気があれば?」
「断れます」
「真面目だと?」
「処理します」
透は、少しだけ同情した顔になった。
「美緒さん、頑張ってください」
美緒は透を見た。
「その言葉でも人は残業します」
「すみません」
四 つづり、商機を嗅ぎつける
宮守つづりが、追加請求書を持ってきた。
八重結び作戦で使った術具。
予備札。
署名札。
停止札。
固定杭。
そして、売り物ではないはずだった緊急用の術具。
全部、請求対象だった。
つづりは紙の束を置く。
「はい、追加分」
美緒は一枚目を見た。
「金額が増えています」
「使ったからね」
「売り物ではないやつも入っています」
つづりは胸を張る。
「売り物じゃないやつを使ったから、売り物より高いよ」
透が横でつぶやく。
「理屈が強い」
美緒は即座に言う。
「強くありません」
つづりは、美緒の端末に表示された地域間交流会の文面を見た。
「交流会?」
美緒が端末を伏せる。
「見ないでください」
「合コン?」
「読まないでください」
「商機?」
「嗅がないでください」
つづりは目を輝かせた。
「飲食、宿泊、交通、安全祈願、身だしなみ札、縁結び護符、会場結界、帰宅時の迷い避け」
「全部いける」
透は少し感心する。
「商売の枝がすごい」
美緒は冷静に返す。
「伸ばさなくていい枝です」
つづりは椅子に座る。
「でも風祭さん、悪い人じゃないよ」
「若手のためでしょ、これ」
美緒は少し黙った。
「分かっています」
「だから削除していません」
つづりはにこっと笑う。
「じゃあ、処理するんだ」
「します」
「じゃあ、ついでに提携業者として」
「しません」
「まだ内容言ってない」
「言う前から分かります」
「美緒ちゃん、成長したね」
「あなたへの対応精度だけ上がっています」
つづりは、まったく傷つかない顔で笑った。
「それも信頼だね」
美緒は追加請求書へ視線を戻す。
「請求額は信頼していません」
「そこは信頼してよ」
「確認します」
「ひどい」
透は、二人のやり取りを見ながら思った。
現場の霊障より、現場後の請求書の方が怖いこともある。
たぶん、それは報告書には書かない方がいい。
五 白鳥理央の善意
白鳥理央は、美緒の業務負荷を見て、珍しく気遣った。
「片桐さんの業務負荷が高すぎます」
美緒は画面から目を離さずに言う。
「分かっているなら、何もしないでください」
白鳥は頷いた。
「業務負荷軽減AIを作ります」
美緒はようやく顔を上げた。
「何もしないでくださいと言いました」
白鳥は止まらない。
「各地域からのしわ寄せ報告を分類し、責任分界、保険適用、行政説明、術具補填、人的補填、地域間交流の六分類へ自動ラベリングします」
透が言う。
「便利そう」
美緒は即座に言った。
「便利そうに見えるものは、だいたい初期設定が地獄です」
白鳥は頷く。
「その通りです」
「同意しないでください」
「学習データが必要です」
美緒は目を細める。
「誰が整理するんですか」
白鳥は、当然のように答えた。
「片桐さんです」
「増やしてますよね?」
「将来的な削減のための一時的増加です」
「今、増やしてますよね?」
「はい」
「はいじゃないです」
黒瀬が、後ろから低く言う。
「白鳥」
「はい」
「善意なのは分かる」
「ありがとうございます」
「だが、善意で仕事を増やすな」
白鳥は少し考える。
「善意で増えた仕事は、悪意で増えた仕事より処理しづらいですか」
美緒が即答する。
「はい」
白鳥は端末へ入力しかけた。
「業務負荷軽減AIに追加します」
「追加しないでください」
透は小声で言う。
「美緒さんの止める対象、どんどん増えてますね」
美緒は静かに答える。
「それが残業です」
六 事務方の八重結び
透は、山のような通知を見ながら言った。
「美緒さんって、事務の八重士っすね」
美緒は即座に返す。
「変な肩書を作らないでください」
黒瀬が端末を見る。
「接続数、余裕で八超えてるだろ」
白鳥が即座に画面を見る。
「案件接続十六、枝八」
「合計二十四要素を超えています」
美緒は白鳥を見た。
「数えないでください」
白鳥は続ける。
「現状では、片桐美緒一名のみが実行可能です」
美緒は表情を変えずに言う。
「それ、八重結びじゃなくて禁呪側です」
透が少し考える。
「この十六接続も、バラしたら六十四接続になりそう」
「それで、やっと安全化禁呪です」
黒瀬が言う。
「八重結びまで遠いな」
美緒は淡々と答えた。
「遠いままでいてください」
白鳥が端末を操作する。
「では、八名での並行事務を検討します」
「検討しなくていいです」
「検討結果が出ました」
美緒の声が少しだけ低くなる。
「早い」
白鳥は真顔で言った。
「片桐美緒級の事務担当が八名必要です」
透が言う。
「不可能な人選来た」
黒瀬が聞く。
「全国に何人いるんだ」
白鳥は答える。
「観測可能範囲では、一名です」
美緒は即座に言う。
「観測しないでください」
透がぽつりと言う。
「事務の八重士どころか、事務の確定拠点じゃないですか」
「肩書を増やさないでください」
白鳥はさらに続けた。
「ちなみに枝は、業務負荷軽減AIの学習データ取得用に追加された記録業務です」
美緒が言う。
「増やしてますよね?」
「はい」
「二回目ですよ」
透が少し笑う。
「枝って、術式でも事務でも効けば強そう」
美緒は端末を閉じた。
「事務の枝は、だいたい誰かの“ついでに”です」
「そして、だいたい効く前に折れるか、業務が崩れます」
黒瀬が言う。
「名言だな」
「名言にしないでください」
つづりが横から言う。
「名言札、作る?」
「作らないでください」
「売れるかも」
「売らないでください」
美緒の返答速度は、八重士の同期率より安定していた。
七 黒瀬、休暇申請に怯える
美緒は休暇申請書を出した。
黒瀬が固まる。
「……これは?」
「休暇申請です」
黒瀬は、申請書を見た。
「いつから」
「明日から」
「急だな」
美緒は静かに言った。
「これは申請ではありません」
「通達です」
黒瀬は顔を上げる。
「社長に通達するな」
「社長だから通達しています」
透が小声で言う。
「休暇通達、行政命令味を感じる」
黒瀬は、積み上がった案件一覧を見る。
北海道の観測網説明。
北陸の希薄処理日程変更。
九州の札使用量補填。
中部の地域間交流会。
白鳥のAI学習データ。
つづりの追加請求。
黒瀬はしばらく黙った。
「……何日必要だ」
美緒は即答する。
「三日」
「二日で」
「四日」
黒瀬が眉を寄せる。
「増えたぞ」
「交渉してきたので」
透が素直に言う。
「強い」
黒瀬は、もう一度申請書を見る。
「分かった。三日」
美緒は、きれいに頭を下げた。
「ありがとうございます」
黒瀬はすぐに続ける。
「ただし」
「緊急時を想定して携帯の」
美緒が遮る。
「電源を切ります」
「切るな」
「切ります」
「せめて通知を」
「切ります」
「緊急連絡は」
「黒瀬さんが受けてください」
黒瀬は固まった。
透が小声で言う。
「社長ですもんね」
黒瀬は透を見る。
「今それを言うな」
美緒は休暇申請書を黒瀬の前へ置いた。
「三日です」
黒瀬は、しばらくその紙を見ていた。
そして、観念したように判を押した。
「三日だ」
美緒は申請書を回収する。
「ありがとうございます」
黒瀬は低く言う。
「帰ってこいよ」
美緒は一瞬だけ止まった。
それから、いつもの声で返す。
「休暇です」
「帰還確認は不要です」
透が言う。
「でも、ちょっと必要そうですよね」
美緒は透を見た。
「休暇からは、帰ってきます」
その言い方だけは、少しだけ真面目だった。
八 未精算残業
美緒は、残っている案件を最低限だけ整理する。
北辰院には、北海道の観測網薄化について行政説明のひな形を返す。
雪代には、北陸の希薄処理日程変更に伴う責任分界案を送る。
九州には、札使用量が増えた理由を、代替班運用に伴う想定内増加として整理する。
四国には、巡礼路の再編日程を共有する。
関西には、文化財封印物の立会い延期について、関係者向けの謝罪文面を作る。
そして、風祭にはこう返した。
地域間交流会として処理します。
合コンという語は、公式文書では使用しません。
参加希望者六名の一覧は受領済みです。
後日、目的・対象・安全管理・費用負担を整理します。
風祭から、すぐに返信が来る。
承知しました。
若手には、正式に進行中と伝えます。
美緒は画面を見た。
「正式には進行していません」
透が言う。
「でも進行はしてますよね」
「していません」
白鳥が端末を見ながら言う。
「状態としては未確定進行中です」
美緒は目を閉じた。
「言葉を増やさないでください」
「分類上は必要です」
「分類しないでください」
黒瀬が、作業済みの一覧を見た。
「これだけ処理して、まだ残ってるのか」
美緒は頷く。
「残っています」
「どのくらい」
「見ない方がいいです」
「見ないと社長としてまずい気がする」
「見たら社長として休めなくなります」
黒瀬は少し考えた。
「見ない」
透が言う。
「いいんですか」
黒瀬は答える。
「社長にも生存確認が必要だ」
美緒は、最後の確認だけ済ませる。
未精算の残業は、まだ山ほど残っている。
だが、今日片づけるべき線は引いた。
線を引くことも、仕事だった。
そして、線の外へ出ることも、仕事だった。
九 最後の依頼
美緒は荷物をまとめる。
端末を閉じる。
スマホを見る。
通知はまだある。
だが、今日はもう見ない。
そう決めた瞬間、目の前にいる白鳥から通知が届いた。
八重結び実行ログの確認依頼
優先度:高
期限:本日中
補足:帰還確認ログとの照合が必要です
美緒は、目の前の白鳥を見る。
白鳥はまっすぐ返す。
「期限の都合、休暇前に確認していただく方が妥当かと」
美緒は、ゆっくりと言った。
「白鳥さん」
「はい」
「休暇という概念を学習してください」
白鳥は少し考える。
「式守に追加しますか」
美緒は無言でスマホの電源を切った。
透が声を漏らす。
「あ」
黒瀬も言う。
「切った」
つづりが笑う。
「逃げた」
美緒は鞄を持つ。
「これは逃走ではありません」
「休暇です」
そして走る。
透は、その背中を見送った。
「休暇って走って始まるんですね」
黒瀬が言う。
「追うな」
白鳥が端末を見る。
「ログ確認は」
黒瀬がもう一度言う。
「追うな」
つづりは、追加請求書の控えをまとめながら言う。
「地獄に営業行くより怖いね、未精算残業」
透が頷く。
「美緒さんの敵、怨霊より強いんじゃないですか」
黒瀬は否定しなかった。
「たぶんな」
十 今日は終わりにした
美緒が去ったあと、白鳥は少し考えた。
「休暇中の業務通知を制限する機能を作ります」
透が明るく言う。
「いいじゃないですか」
黒瀬は即座に言う。
「それは今すぐ作れ」
白鳥は頷く。
「学習データが必要です」
黒瀬の声が低くなる。
「誰に聞く気だ」
「片桐さんに」
「やめろ」
白鳥は止まった。
「では、休暇明けに」
黒瀬はさらに低く言う。
「やめろ」
透は、端末に残った通知を見た。
見てはいけない気がした。
だが、一件だけ、画面に表示されていた。
風祭令:若手から質問です。交流会は私服ですか、作務衣ですか。
透は、そっと端末を伏せた。
「見なかったことにしましょう」
黒瀬が言う。
「それは隠蔽じゃないのか」
つづりが答える。
「休暇保護だよ」
白鳥が端末へ向かう。
「休暇保護。式守に追加します」
黒瀬は止めようとして、少しだけ考えた。
「それは追加していい」
そのころ、美緒の電源の切れたスマホには、届かない通知が一件残っていた。
美緒は、それを知らない。
知らないまま、三日間の休暇に入る。
案件は終わっていない。
だが、今日は終わりにした。
第8.5話 片桐美緒の未精算残業 了
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片桐美緒の案件補足

これは逃走ではありません
休暇です
概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 記録名 | 片桐美緒の未精算残業 |
| 区分 | 八重結び作戦後処理・人員調整・事務処理 |
| 対象 | 八重士招集によって各地に発生したしわ寄せ、補填、説明、請求、交流会調整 |
| 主目的 | 八重結び作戦後に残った未精算業務を整理すること |
| 中心人物 | 片桐美緒 |
| 状態 | 現場は完了済み。案件は未完了 |
| 注意 | 霊障処理ではなく、処理後に発生した現実側の負荷を扱う補足回 |
用語
| 用語 | 説明 |
|---|---|
| 未精算残業 | 現場終了後に残る後処理、説明、責任分界、請求、日程再調整などの業務。美緒の最大の敵。 |
| しわ寄せ | 八重士を各地から一時的に抜いたことで、各地域の防衛網や通常業務に生じた負荷。 |
| 丁寧な丸投げ | 文面は丁寧で理屈も通っているが、実質的には美緒へ処理を委ねている依頼。 |
| 事務方の八重結び | 契約、予定、責任、補填、記録、説明、請求を結び直す美緒の後処理業務。 |
| 地域間交流会 | 風祭令が若手退魔士の定着率改善のために求めている交流施策。合コンという語は公式文書では使用しない。 |
| 業務負荷軽減AI | 白鳥が善意で作ろうとした支援機能。ただし初期学習データ作成により、美緒の仕事を増やす危険がある。 |
| 休暇通達 | 美緒による休暇申請。実質的には申請ではなく通達。 |
| 休暇保護 | 休暇中の業務通知を制限する考え方。白鳥が式守へ追加しようとする。 |
各地のしわ寄せ
| 地域 | 内容 | 処理方針 |
|---|---|---|
| 北海道 | 観測網が薄くなり、軽微な霊障を三件見落とした | 作戦由来の一時的空白として行政説明文を整理 |
| 東北 | 固定結界更新が一日ずれた | 自治体説明が必要 |
| 関西 | 文化財封印物の立会いが延期された | 関係者向けの説明・謝罪文面を作成 |
| 北陸 | 雪解け前の希薄処理が積み残しになった | 日程変更に伴う責任分界を整理 |
| 九州 | 高密度霊障待機の代替班が札を使いすぎた | 代替班運用に伴う想定内増加として整理 |
| 四国 | 巡礼路の霊障バランス調整日程が再編された | 再編日程を共有 |
| 中部 | 山岳・河川導線の巡回班が地域間交流会の話を蒸し返した | 公式には地域間交流会として処理 |
八重士たちからの依頼
| 人物 | 内容 | 美緒の反応 |
|---|---|---|
| 北辰院玲司 | 北海道の観測網薄化による軽微霊障見落としの行政説明 | できるが、やりたくはない |
| 雪代透子 | 北陸の希薄処理日程変更に伴う責任分界文面の確認 | 信頼が重い |
| 風祭令 | 地域間交流会、または合コンについての相談 | 件名が悪い |
| 全国の八重士たち | 各地の作戦後処理、補填、説明の相談 | 丁寧な丸投げとして美緒に集中 |
風祭令の地域間交流会
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 表向き | 地域間交流会 |
| 問題の語 | 合コン |
| 実態 | 若手退魔士の定着率改善、他地域との横のつながりづくり |
| 風祭の認識 | 若手に言われた形式を、そのまま正確に伝えたつもり |
| 美緒判断 | 目的は正当。ただし語彙が危険 |
| 公式処理 | 地域間交流会として扱う |
| 注意 | 合コンという語は公式文書では使用しない |
つづりの追加請求
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 八重結び作戦で使用した術具、予備札、署名札、停止札、固定杭、緊急用術具 |
| 問題 | 売り物ではないはずの術具も請求対象に含まれている |
| つづりの主張 | 売り物ではないものを使ったから、売り物より高い |
| 美緒判断 | 金額確認が必要 |
| 追加火種 | 地域間交流会を商機として嗅ぎつける |
| 商機案 | 飲食、宿泊、交通、安全祈願、身だしなみ札、縁結び護符、会場結界、帰宅時の迷い避け |
| 美緒対応 | 提携業者化は却下 |
白鳥理央の善意
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 問題認識 | 美緒の業務負荷が高すぎる |
| 提案 | 業務負荷軽減AIの作成 |
| 機能案 | 責任分界、保険適用、行政説明、術具補填、人的補填、地域間交流の自動分類 |
| 問題点 | 学習データの整理を美緒が行う必要がある |
| 美緒判断 | 今、仕事を増やしている |
| 黒瀬判断 | 善意で仕事を増やすな |
| 補足 | 白鳥は悪意なく業務を増やすため、かなり厄介 |
事務方の八重結び
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 透の表現 | 美緒さんって、事務の八重士っすね |
| 白鳥の計算 | 案件接続十六、枝八、合計二十四要素以上 |
| 美緒の反応 | それは八重結びではなく禁呪側 |
| 白鳥の検討 | 八名での並行事務 |
| 必要人材 | 片桐美緒級の事務担当が八名 |
| 観測結果 | 観測可能範囲では一名 |
| 結論 | 美緒に業務が集中している状態は危険だが、代替が存在しない |
休暇申請
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 美緒の提出物 | 休暇申請書 |
| 実態 | 申請ではなく通達 |
| 希望日数 | 三日 |
| 黒瀬の交渉 | 二日で、と言った結果、四日に増えかける |
| 最終結果 | 三日 |
| 携帯電話 | 電源を切る予定 |
| 黒瀬の懸念 | 緊急連絡が取れない |
| 美緒の主張 | 休暇である |
| 補足 | 休暇からは帰ってくる |
未精算処理の最低限整理
| 相手 | 美緒の対応 |
|---|---|
| 北辰院 | 北海道の観測網薄化について行政説明のひな形を返す |
| 雪代 | 北陸の希薄処理日程変更に伴う責任分界案を送る |
| 九州 | 札使用量増加を代替班運用に伴う想定内増加として整理 |
| 四国 | 巡礼路の再編日程を共有 |
| 関西 | 文化財封印物立会い延期について関係者向け文面を作成 |
| 風祭 | 地域間交流会として処理する旨を返信 |
美緒メモ
| 項目 | メモ |
|---|---|
| 現場 | 終了 |
| 案件 | 未終了 |
| 八重士しわ寄せ | 多数 |
| 地域間交流会 | 未確定進行中ではない |
| 業務負荷軽減AI | 現時点では負荷増加 |
| 追加請求 | 要確認 |
| 休暇 | 三日 |
| 携帯 | 切る |
| 本日の結論 | 案件は終わっていないが、今日は終わりにする |
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