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足りない帳簿
灰の一団と呼ばれ始めてから、依頼は増えた。
荷馬車の護衛。
橋の下の魔物退治。
森に入った子どもの捜索。
鉱山道からの撤退支援。
街道脇の小鬼退治。
怪我人の手当て。
崩れかけた小屋から荷を出す手伝い。
そういう小さな仕事が、少しずつ重なっていった。
評判は悪くない。
むしろ、よかった。
灰色の外套を着た四人組は、危ない道にも行く。
魔物も追い払う。
怪我人も見てくれる。
話を聞いてくれる。
それでいて、騎士団ほど大げさではない。
神殿ほど遠くもない。
地方役人ほど手続きも多くない。
頼みやすい。
それが、よくなかった。
「困ってたし、仕方ないだろ」
宿場の小さな部屋で、ロアンはそう言った。
テーブルの上には、ミルカの帳簿が開かれている。
銅貨の袋。
保存食の残り。
薬草の包み。
針と糸。
ほつれた外套。
欠けかけた砥石。
それらが、ずらりと並べられていた。
ミルカは帳簿を指で叩いた。
「仕方ないを五回続けた結果がこれ」
ロアンは帳簿をのぞき込む。
「……少ない?」
「少ないじゃなくて、足りない」
エナが心配そうに聞いた。
「宿に泊まれないくらいですか?」
「宿どころか、薬草を買い足せない」
エナは薬草の包みを見た。
「それは困ります」
ガルドも、自分の剣を見る。
「砥石は?」
ミルカは言った。
「買うと食費が削れる」
ガルドは真顔になった。
「それはまずいな」
ロアンはようやく、ことの重さを理解した。
「砥石で?」
ミルカが見る。
「食費でも分かって」
「分かってる」
「本当に?」
「今、分かってきた」
「遅い」
エナが小さく言った。
「癒やしなら、少しは薬草を節約できます」
ミルカは即座に返した。
「エナの体力は薬草より高い」
エナはきょとんとした。
「高いんですか」
「高い。替えがない」
ガルドがうなずく。
「確かに、エナは買えないな」
ロアンが言う。
「言い方」
エナは自分の手を見る。
癒やしは便利な力ではない。
使えば、体力も気力も削れる。
鍛冶師を一週間かけて癒やした時、それはもう分かっていた。
分かっていたはずなのに、目の前に怪我人がいると、つい手が伸びる。
「でも、怪我している人を見ると」
「分かってる」
ミルカの声は、少しだけ柔らかくなった。
「分かってる。でも、エナが倒れたら、その次の人は助けられない」
エナは黙った。
ロアンも黙った。
ガルドは砥石と剣を見比べている。
それから言った。
「剣が欠けたら、戦えない」
ミルカは頷く。
「そう」
「靴が破れたら、歩けない」
「そう」
「腹が減ったら?」
「動けない」
ガルドは納得したように腕を組んだ。
「旅は思ったより、いろいろ要るな」
ロアンが言う。
「俺も最初にそう思った」
ミルカがすぐに言う。
「今も思って」
「はい」
ミルカは帳簿を閉じなかった。
閉じたら、現実が少し遠くなるからだ。
「食料。宿代。薬草。包帯。油紙。外套の補修。靴の修理。剣の手入れ。魔術用の小道具。地図の写し。情報料。馬車代」
ロアンは一つずつ聞くたび、顔色を変えた。
「旅って、高いな」
「前にも言った。旅は帳簿」
「旅は道と荷と戻ることだと思ってた」
「帳簿も入れて」
エナが真面目に言った。
「薪と米も必要です」
ミルカは頷く。
「神殿でも薪と米は必要。旅ならなおさら」
ガルドが言う。
「豆もいる」
「豆もいる」
ミルカはそこだけ否定しなかった。
ロアンは帳簿を見る。
数字は少ない。
それでも、これまで助けた人たちの顔を思い出すと、間違っていたとは思えなかった。
困っていた。
放っておけなかった。
でも、このままでは次へ行けない。
次に困っている人のところへたどり着けない。
それもまた、間違いなく現実だった。
若いんだし
その問題は、すぐに形を変えてやって来た。
宿場の店先で、商人がロアンたちを待っていた。
荷馬車は二台。
片方には布と日用品。
もう片方には木箱が積まれている。
従者が一人、足を布で巻いていた。
商人はロアンたちを見るなり、ほっとした顔をした。
「灰の一団だな。森の向こうの村まで護衛を頼みたい」
ロアンはミルカを見た。
ミルカは荷馬車を見る。
荷の量。
車輪。
馬の疲れ。
従者の足。
空模様。
そして、商人の差し出した金額。
ミルカの表情が変わった。
「その額では受けられません」
商人は眉をひそめた。
「困っているんだ」
ミルカは静かに答える。
「困っていることと、危険な仕事を安く頼むことは別です」
ロアンは、思わずミルカを見る。
商人も少し声を強めた。
「若いんだし、経験にもなるだろう」
ガルドが首をかしげる。
「経験で飯は食えるのか」
ロアンは小声で言った。
「ガルドさんが正論を」
ミルカが頷く。
「かなり正しい」
商人は少し不機嫌そうに言った。
「前は安く引き受けたと聞いたぞ」
ミルカは帳簿を持っていなかった。
けれど、まるでそこに数字が見えているような顔で答えた。
「だから、今困っています」
商人は言葉に詰まった。
エナは従者の足を見ていた。
痛そうだ。
歩けなくはない。
けれど、森道で襲われたら遅れる。
「足、痛みますか」
従者は気まずそうに頷く。
「少し」
エナは手を伸ばしかけて、止めた。
ミルカの言葉が頭に残っている。
まず普通の手当て。
癒やしは最後。
エナは布の巻き方だけを直した。
「これで少し楽になると思います」
従者は驚いたように足を動かした。
「助かる」
商人はそこを見て、またロアンを見た。
「ほら、怪我人もいる。急ぎたいんだ」
ガルドは言う。
「困ってるなら、助ければいいんじゃないか」
エナも小さく言った。
「でも、目の前で困っている人を、報酬がないからって放っておくんですか」
ミルカはすぐには答えなかった。
助けたくないわけではない。
それを、ロアンは分かっていた。
ミルカは冷たいのではない。
むしろ、皆が次も動けるように見ている。
ミルカは少し声を和らげた。
「助けたくないわけじゃない。でも、私たちが倒れたら終わり」
エナは黙った。
ガルドも言い返せなかった。
ロアンは商人の荷を見た。
向こうの村に届けば、助かる人がいるのだろう。
布や日用品が必要な人もいる。
従者の怪我も気になる。
けれど、この額では、森を抜ける費用に足りない。
もし魔物が出れば、薬草も包帯も使う。
剣も傷む。
靴も減る。
ロアンは息を吸った。
「条件を変えましょう」
商人が顔を上げる。
「条件?」
「はい。俺たちは助けたい。でも、この額だと続けられない」
ミルカがロアンを見た。
ロアンは少しだけ頷く。
ここからは、ミルカの言葉を借りる。
でも、言うのは自分だ。
「報酬は、今出された額より上げてください。ただ、相場より少し低くてもいいです。その代わり、食料と薬草の補充、包帯、怪我人用の馬車の場所は商人さん側で負担してください」
商人は渋い顔をする。
ロアンは続けた。
「あと、途中で荷を捨てる判断が必要なら、俺たちの判断に従ってください」
「荷を捨てる?」
「命が先です」
ミルカが補足する。
「魔物が想定より多い場合は撤退します。撤退しても、移動した分と危険な道へ入った分の報酬は支払ってください」
商人は声を荒げた。
「撤退しても払うのか」
ロアンは答えた。
「撤退も仕事です。生きて戻すために判断します」
ガルドがうなずく。
「死んだら荷も届かない」
エナも言った。
「怪我人も運べません」
ミルカがまとめる。
「成功報酬だけでは受けません。危険な道を進む時点で費用が発生します」
商人は腕を組んだ。
不満そうだった。
だが、周りにいた宿場の者たちは黙って聞いていた。
誰かが小さく言った。
「まあ、森道ならそうだろ」
別の者も言う。
「安く頼みすぎだ」
商人は苦い顔をした。
やがて、うなずく。
「分かった。その条件で頼む」
ロアンは少しだけ息を吐いた。
ミルカは表情を変えなかった。
ただ、商人の差し出した銅貨と、補充品の内容をきちんと確認した。
戻る仕事
森の道は、想像より悪かった。
雨の後で土が柔らかい。
馬車の車輪が沈む。
木の根が道に張り出し、荷馬車が傾きそうになる。
ロアンは前後を見ながら歩いた。
ガルドは前衛。
ミルカは道と周囲の魔力を見る。
エナは従者の足の状態を確認する。
護衛というより、荷馬車全体を少しずつ動かす仕事だった。
途中、小鬼が二匹出た。
ガルドが一匹を道の外へ弾き、ロアンがもう一匹を馬車から離す。
ミルカが車輪の横に小さな土の壁を作り、石を弾く。
エナは従者が転びかけたところを支えた。
そこまでは、予定の範囲だった。
問題は、その先だった。
ガルドが足を止めた。
「待て」
ロアンも止まる。
「どうしました」
ガルドは道の先の土を見る。
足跡がある。
小鬼のものだけではない。
もっと大きい。
深い。
複数。
ミルカがしゃがみ込む。
「小鬼だけじゃない。大型が混ざってる」
商人が後ろから言った。
「あと少しだ。進めば抜けられる」
ロアンは足跡を見る。
馬車を見る。
従者を見る。
道を見る。
そして、空を見る。
森は静かすぎた。
「戻ります」
商人が声を荒げる。
「約束が違う!」
ロアンは振り返った。
「約束通りです。想定より多い場合は撤退する」
「だが、荷は」
「戻します」
「向こうの村が待ってるんだぞ!」
ロアンは少し迷った。
その村にも困っている人がいる。
分かる。
けれど、ここで進んで全滅したら、荷も人も届かない。
ロアンは言った。
「今日は戻ります。道を変えるか、兵を増やして出直す」
ミルカが足跡を指す。
「この荷馬車の速度では、追われたら逃げ切れません」
ガルドも言う。
「俺一人なら入れる。でも荷馬車は無理だ」
エナは従者を見る。
「この人は走れません」
商人は歯を食いしばった。
納得はしていない。
だが、条件は決めていた。
「……戻る」
ロアンは頷いた。
「戻ります」
帰り道にも小型の魔物が出た。
焦った馬が暴れかける。
ロアンが前に出て、馬を落ち着かせる。
「大丈夫。戻るだけだ」
ミルカが足元を崩して魔物の足を止める。
ガルドが前で切り払い、エナが従者を馬車に乗せる。
全員が宿場へ戻った時には、日が傾いていた。
目的地には着かなかった。
荷も届かなかった。
けれど、人も馬も荷も失われなかった。
商人は不満そうだったが、約束通り報酬を払った。
周囲の者が少し驚く。
「目的地まで行ってないのに払うのか」
商人は苦い顔で言った。
「約束だからな」
ロアンは受け取る時、少し気まずかった。
ミルカはしっかり受け取る。
「ありがとうございます」
エナが小声で聞いた。
「いいんでしょうか」
ミルカは答える。
「いい。戻る判断にも責任があるから」
ガルドが言う。
「それに、戦った」
ロアンは銅貨の重さを感じた。
これは、感謝の礼ではない。
仕事の対価だ。
目的地に着くことだけが仕事ではない。
進まない判断。
戻る判断。
それにも責任がある。
責任があるなら、報酬を受け取っていい。
ロアンは、そのことを少しだけ覚えた。
小さな手助け
その日の夕方、ロアンは宿場の裏で老婆を見つけた。
薪を抱えている。
量が多い。
足元も危なっかしい。
ロアンは自然に声をかけた。
「持ちます」
老婆は驚いた。
「いいのかい」
「はい。どこまで?」
「裏の小屋まで」
ロアンは薪を運んだ。
報酬はない。
老婆は礼に、小さな焼き菓子を一つくれた。
ロアンは少し迷ってから受け取った。
「ありがとうございます」
別の場所で、エナは転んだ子どもの膝を洗っていた。
泥を落とし、布を巻く。
癒やしは使わない。
子どもは泣き止み、礼を言って走っていった。
ガルドは、宿場の外れで壊れかけた柵を直していた。
通りかかった荷運びに頼まれたらしい。
板を押さえ、縄で結び直す。
「これでしばらくは持つ」
荷運びが礼を言うと、ガルドは頷くだけだった。
ミルカは宿屋の帳面を見ていた。
店主が首をひねっていた計算違いを見つけ、指で示す。
「ここ、足しすぎです」
店主は目を丸くした。
「本当だ。助かった」
ミルカは小さく頷いた。
それらは依頼ではなかった。
灰の一団として受けた仕事でもない。
ただ、それぞれが自分の責任でできる小さな手助けだった。
夜、部屋に戻ると、ミルカはロアンの焼き菓子を見た。
「報酬?」
ロアンは少し身構えた。
「お礼です」
「薪運び?」
「はい」
ミルカは何も言わなかった。
エナが恐る恐る聞く。
「子どもの膝を洗いました」
「知ってる」
「報酬はありません」
「いい」
ガルドも言う。
「柵を直した」
「見た」
「報酬はない」
「いい」
ロアンは驚いた。
「いいの?」
ミルカは帳簿を開きながら答えた。
「そういうのまで止めるつもりはない」
エナの顔が少し明るくなる。
「本当ですか」
「それで旅が続けられなくならない範囲なら」
ガルドが首をかしげる。
「範囲はどう決める?」
ミルカは帳簿を閉じた。
「だから、方針が必要」
ロアンは椅子に座った。
エナも姿勢を正す。
ガルドは壁にもたれた。
ミルカは四人を見回す。
「私は、基本的には報酬を受け取るべきだと思う。危険なことをするなら、なおさら」
エナが不安そうに言う。
「でも、払えない人はどうしますか」
ガルドも言った。
「助けられるなら、助ければいいだろ」
ミルカは答える。
「それを全部やっていたら、私たちが先に動けなくなる」
エナは言う。
「でも、怪我をしてる人を見たら、放っておけません」
ガルドもうなずく。
「困っているなら助けたい」
ミルカは黙った。
ロアンも黙った。
ミルカの言うことは正しい。
エナとガルドの言うことも正しい。
ロアンの気持ちは、どちらかといえばエナとガルドに近い。
困っている人がいれば助けたい。
目の前の人に、報酬がないから無理ですとは言いたくない。
でも、帳簿の数字は嘘をつかない。
薬草も砥石も食料も、勝手には増えない。
エナの体力も戻るには時間がいる。
ロアンはしばらく考えた。
そして言った。
「じゃあ、こうしよう」
三人がロアンを見る。
「灰の一団として受ける依頼は、報酬をもらう。危険なら、その危険に見合った分をもらう。撤退しても、動いた分はもらう」
ミルカが静かにうなずいた。
ロアンは続ける。
「でも、個人でできる手助けは自由。道端の探し物とか、荷物を持つとか、怪我の手当てとか。自分の責任でできる範囲なら、好きにする」
エナがほっと息を吐いた。
「それなら、助けられます」
ガルドも納得したように言う。
「分かりやすいな。仕事なら報酬。手助けなら自由」
ミルカは少し考えた。
「厳密ではないけど、今はそれでいい」
ロアンは頷いた。
「厳密なのは苦手だから」
「知ってる」
「即答」
エナが言った。
「でも、境目が分からない時は?」
ミルカは答える。
「相談」
ガルドが言う。
「戦ってる最中は?」
ロアンが答えた。
「生きて戻る方を選ぶ」
ミルカが頷く。
「それでいい」
方針は、立派な規則ではなかった。
紙に書かれた契約でもない。
でも、灰の一団が旅を続けるための、最初の線になった。
依頼なら、報酬をもらう。
個人の小さな手助けは自由。
それは少し雑で、けれどロアンたちらしい線引きだった。
報酬はもらう
数日後、灰の一団は新しい依頼を受けることになった。
村外れに出る魔物を追い払ってほしいという依頼だった。
村長は申し訳なさそうに言った。
「大きな報酬は出せない」
ミルカが確認する。
「食料と薬草の補充は?」
「それなら出せる」
「怪我人が出た場合の布と場所は?」
「用意する」
「魔物が想定より多い場合は撤退します」
村長は不安そうにロアンを見る。
ロアンはまっすぐ言った。
「報酬はもらいます」
村長は少し驚いた。
「噂では、人助けをしてくれると」
ロアンは頷いた。
「人助けはします。でも、依頼なら報酬はもらいます」
エナは少し緊張した顔をしていた。
ガルドは普通にうなずいている。
ミルカは帳簿を閉じた。
村長はしばらく考えた。
それから、ゆっくり頷く。
「分かった。それで頼む」
ロアンは頷き返した。
「引き受けます」
その瞬間、灰の一団は、ただの善意の旅人ではなくなった。
危険な依頼を受ける。
報酬を取る。
次の土地へ向かうために、活動を続ける。
それは冷たいことではなかった。
続けるための形だった。
その後、宿場や村の間で、灰の一団の評判は少し変わった。
「灰の一団は腕は立つが、ただでは動かない」
「危険な道なら、相応に取る」
「若いが、契約は細かい」
「慈善団体ではない」
商人や村役人の間では、そう言われるようになった。
一方で、別の話も残った。
「老婆の薪を運んでくれた」
「子どもの膝を洗ってくれた」
「壊れた柵を直してくれた」
「宿屋の帳面を直してくれた」
「道を教えてくれた」
どちらも事実だった。
灰の一団は、慈善団体ではなかった。
危険な依頼を受ければ、報酬を求めた。
森を越えるなら、食料が要る。
魔物と戦うなら、薬草が要る。
剣を振るうなら、砥石が要る。
雨の中を進むなら、外套を直す布が要る。
癒やしを使うなら、エナを休ませる時間が要る。
旅を続けるには、金が要る。
だから、灰の一団は報酬をもらった。
それを言い出したのは、ミルカだった。
困っている人を助けるべきだと言ったのは、エナとガルドだった。
そして、その両方を聞いた上で、ロアンが決めた。
依頼なら、報酬をもらう。
ただし、個人の責任でできる小さな手助けは自由。
それが灰の一団の方針になった。
だから、外から見れば彼らは慈善団体ではなかった。
危険度に見合った相応の報酬を受け取る、冒険者兼傭兵集団だった。
だが、近くで見た者は別のことも知っていた。
ロアンは老婆の荷物を持った。
ミルカは宿屋の帳面を直した。
エナは子どもの膝を洗った。
ガルドは壊れた柵を直した。
それらは依頼ではなかった。
灰の一団の仕事でもなかった。
ただ、それぞれが自分の責任で行った、小さな手助けだった。
後に、灰の一団を調べた者はこう記す。
危険度に見合った相応の報酬を受け取っており、慈善団体ではない。
それは正しい。
だが、それだけでもなかった。
彼らは報酬を受け取った。
そして、報酬にならない小さな手助けも、やめなかった。
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