【ASAM】最小構成のMBD事例 第2章 その279【MDF⑧】

【ASAM】最小構成のMBD事例 第2章 その279【MDF⑧】 事例
【ASAM】最小構成のMBD事例 第2章 その279【MDF⑧】

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はじめに

前回はASAM ODSとASAM MDFの育ってきた文化について説明した。
加えて、ASAMのような「緩い標準化」が日本人的には誤解を招きやすい話も。

今回は具体的にODSとMDFの仕様面に近い部分のギャップの話となる。

登場人物

博識フクロウのフクさん

指差しフクロウ

イラストACにて公開の「kino_k」さんのイラストを使用しています。
https://www.ac-illust.com/main/profile.php?id=iKciwKA9&area=1

エンジニア歴8年の太郎くん

技術者太郎

イラストACにて公開の「しのみ」さんのイラストを使用しています。
https://www.ac-illust.com/main/profile.php?id=uCKphAW2&area=1

ODSとMDFの具体的な問題

太郎くん
太郎くん

前回の話でそれぞれの仕様の育ってきた文化はなんとなくわかったけど、
それだとそもそも仕様的に噛み合わないんじゃない?

フクさん
フクさん

そうね。
噛み合わない方が普通ではある。
しかし、計測という目的が一致しているためか、そこそこ噛み合ってしまってるってのが実情だ。

太郎くん
太郎くん

もしや、そこそこ噛み合ってるが故に、噛み合ってない部分が問題ってパターン?

フクさん
フクさん

端的に言うとそうだね。
「同じASAM仕様だから噛み合うべき!」
って考え方もあるだろうが、
前回も話した通りASAM仕様側としては部分最適の結果に過ぎないので
噛み合わない方が普通ではあるから、本来としては幸運と考えるべきなのだが・・・。

太郎くん
太郎くん

経緯を知らない人からしたら、
「噛み合ってないとはけしからん!」
ってことになりそうだなー。

フクさん
フクさん

まぁそこら辺はじわじわっと解決方向には向かってるけどね。

太郎くん
太郎くん

じゃー、とりあえず、具体的にどんな問題があるのか教えて。

計測結果の再現性

フクさん
フクさん

まずは「計測結果の再現性」だな。

太郎くん
太郎くん

再現性?

フクさん
フクさん

MDFの場合はECUから計測した生値と物理値変換式の組み合わせでビューワで表示することを想定してて、この生値が残っていることが重要だったりする。

太郎くん
太郎くん

生値を直接見るわけじゃないから、別に要らないんじゃない?

フクさん
フクさん

ECUから取得した値なんで、再度ECUに流し込む場合は生値の方が再現度は高いと言える。

太郎くん
太郎くん

言われてみればそうだね。

フクさん
フクさん

対して、ODSの方は分析に使えれば良いのでそれほど生値は重要視されていない
まぁODSも物理変換式を入れられるんでMDFのような構造は取れなくもないが、

文化的には先に物理値変換しちゃうんだよね。

太郎くん
太郎くん

それだと生値がなくなっちゃうのか・・・。

フクさん
フクさん

あと、ODS側は扱うデータ量が半端無いから全てに対して毎回物理変換するのは処理負荷的にもネガになるね。

計測データのレートの考え方

フクさん
フクさん

「計測データのレートの考え方」も異なる。

太郎くん
太郎くん

どういうふうに?

フクさん
フクさん

ODS側は一定サンプリング
MDF側は可変サンプリング
MDFの方はマスターチャネルにタイムスタンプが居るんで、サンプリング間の時間が固定じゃない

太郎くん
太郎くん

それ、大問題じゃん!

フクさん
フクさん

まぁここもODS側のデータ構造としてMDFと同じようにマスターチャネル相当を定義すれば管理できなくもない。
つまりODSの内部データを扱う側がうまくハンドリングすれば対応可能

太郎くん
太郎くん

なんか段々と無理やり辻褄を合わせてきてる感がにじみ出てきてるよ・・・。

計測データの格納状態

フクさん
フクさん

最後に最大に揉めてると思われる「計測データの格納状態」

太郎くん
太郎くん

MDFの方だとChannel Groupで1レコードみたいになってたね。

フクさん
フクさん

ODS側の文化だと1チャンネルごとに個別に計測データを抱える文化だな。

太郎くん
太郎くん

MDFみたいにレコードにはしないの?

フクさん
フクさん

レコード方式はあくまで計測する側の都合だからね。
管理する側の都合としてはチャンネル別に抱えてたいってことになる。

太郎くん
太郎くん

そこのギャップは埋められてないの?

フクさん
フクさん

埋められなくもないのだが、
ここでsorted MDFとunsorted MDFの問題が浮上する。
まぁ掘り下げると長くなるから次回説明だな。

太郎くん
太郎くん

(あ、unsorted MDFの方はレコードがごちゃるからむっちゃ揉めそう)

まとめ

フクさん
フクさん

まとめだよ。

  • ODSとMDFの具体的な問題に突入。
  • 計測結果の再現性ポリシーが違う。
    • MDFはECUに生値を入れたい動機がある。
  • 計測データのレートの取り方が違う。
    • ODSは一定サンプリング、MDFは可変サンプリング。
  • 計測データの格納状態が違う。
    • ODSはチャンネル別、MDFはCG単位のレコード。

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