本当に人間ってあさはかな生き物だよね

創作実験

本当に人間ってあさはかな生き物だよね 第6話 声が大きいだけ

匂いで見る散歩シジミは散歩をしていた。いつもの道である。家を出て、角を二つ曲がり、低い塀の続く通りを歩く。塀の向こうには、それぞれ違う庭がある。花の多い庭。木ばかりの庭。人間が何に使っているのか分からない物を、いくつも積み上げている庭。同じ...
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本当に人間ってあさはかな生き物だよね 第5話 この辺りで一番かわいい猫

この辺りの強い猫その猫は、ほかの猫とは明らかに違っていた。まず、毛の色が違う。全身を覆う毛は、黒でも白でも茶色でもない。日の当たり方によって灰色にも銀色にも見える、少し変わった色をしている。毛は短く、体へぴったりと沿っていた。体格も、ほかの...
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本当に人間ってあさはかな生き物だよね 第4話 名前は統一してほしい

見回りは仕事シジミは散歩をしていた。いつも通る道である。家を出て、低い塀の横を歩き、角にある植木鉢の匂いを確認する。その先の空き地を横切り、日当たりのよい石の上で少し休む。気が向けば、さらに先まで行く。気が向かなければ、そこで引き返す。散歩...
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本当に人間ってあさはかな生き物だよね 第3話 壁の中の黒猫

黒猫は別の猫うちの人間が本を読んでいる。題名は『黒猫』。表紙には、シジミと同じ黒い猫が描かれていた。もっとも、同じなのは毛の色くらいである。顔つきも違う。目の色も違う。耳の形も違う。黒い猫というだけでシジミと一緒にされては困る。人間は黒い猫...
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本当に人間ってあさはかな生き物だよね 第2話 猫はドジではない

かわいいで済ませる人間うちの人間が、テレビという絵の動く箱で猫の特集を見ている。画面には、さまざまな猫が次々と映し出されていた。段ボール箱の中へ入る猫。細い隙間から顔だけを出す猫。人間の膝の上で眠る猫。何もない壁を見上げながら鳴いている猫。...
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本当に人間ってあさはかな生き物だよね 第1話 名前はもうある

貝ではない吾輩は猫である。名前はまだない。――ということはなく、シジミという名前がついている。うちの人間がつけた。シジミがまだ小さかったころ、黒い毛が貝殻のように見えたかららしい。シジミは本物のシジミを見たことがある。うちの人間が味噌汁を飲...