
まだまだ物語は続きます。
今のところ、だいたい折り返し地点くらいです。
この物語の発端は、タイトルのとおり、
「本当に何のスキルももらわずに異世界へ転生したら、どうなるのか?」
という疑問でした。
当然、言葉は通じません。
文字も読めません。
さすがに服だけは着せておきました。
ただ、それだけでは厳しいだろうということは、書き始める前から分かっていました。
そこで理人には、数字を扱ってきた経験を持たせています。
世界が変わっても、数字の扱い方はそれほど大きく変わらないはずです。
言葉や文字が通じなくても、数字ならどこかで通じる可能性が高い。
そう考えていました。
ところが、実際に書き始めて分かったのですが、何の支援もない異世界転生者は、ものすごい速さで詰みます。
食べ物が手に入らずに餓死する。魔物や獣に襲われる。言葉が通じないため、不審者として捕まる。
少し考えるだけでも、いくらでも危険が出てきます。
これはまずい。
誰か、理人を支える人物が必要でした。
そこで投入されたのが、リナです。
リナは、動物の気持ちをなんとなく察することができます。
特別なスキルを持っているわけではありません。
表情や仕草を見て、自然と理解してしまうだけです。
この世界から見れば、理人は宇宙人のようなものです。
言葉が通じず、何を考えているかも分からない。
そういう意味では、動物とあまり変わりません。
つまり理人は、リナの得意分野だったわけです。
リナと出会ったことで、理人はようやく生き延びるための足場を得ました。
そこから倉庫へ行き、街のギルドへ行き、神殿分院へ行き、少しずつ世界が広がっていきます。
そして今後は、さらに広い場所へ進んでいきます。
私のほかの作品を読んでくださっている方は、なんとなく察しているかもしれません。
私は、いわゆるチートスキルや俺TUEEE系の物語を、ほとんど書いていません。
本作も含めて考えると、
「チートや俺TUEEEが嫌いなのでは?」
と思われるかもしれません。
逆です。
大好きです。
ものすごく好きです。
やはり、物語における爽快感は重要です。
ただ、好きなものと、自分が自然に書けるものは別でした。
書けないわけではありません。
ですが、いわゆる「キャラクターが勝手に動く」という状態まで、なかなか持っていけません。
たぶん、余計なことを考えてしまうからだと思います。
この力を使ったら、周囲はどう反応するのか。社会はどう変わるのか。なぜその仕組みは存在しているのか。ほかの人は、なぜ同じことができないのか。
そんなことを考えているうちに、爽快に敵を倒す話とは違う方向へ進んでいきます。
ただ、それはそれで、自分の持ち味なのかもしれません。
今回も、何も与えられなかった理人が、観察し、記録し、人に助けられながら、少しずつ世界の仕組みへ近づいていきます。
まだ折り返し地点です。
この先、理人たちがどこまで世界を広げ、何を見つけるのか。
引き続きお付き合いいただければ幸いです。
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